娘のランドセルから考えた、多様性とCARL VON LINNÉの話

執筆者 | 21/07/16 (金) | コラム

皆さんこんにちは、2020年9月入会の間宮まさかずです。

わが家には来年小学生になる娘がいます。
今日は、娘の入学準備の為にランドセルを買おうとした際に
「小学校のカバンってなんでずっとランドセルなんだろう。他に選択肢はないのかな」
と考えた事をきっかけに、学んだ事や感じた事を書かせて頂こうと思います。

■協調性と多様性

私は、この「ランドセル以外の選択肢」についての疑問を誰かとシェアしたくて、PG子育て部のメッセンジャーグループで、
「小学校でランドセル以外のカバンを使っておられる方はいらっしゃいますか?」
と質問をさせてもらいました。

たくさんの方がお返事を下さり、色々なご意見を頂きました。
(子育て部の皆さんいつもありがとうございます。)

ランドセルを使っているという方からは、

「ランドセルは交通事故の際にクッションとして体を守ってくれます」
「他の子と違うカバンだといじめられるかもしれないので心配です」
「教科書のサイズに合っているので使い勝手が良いと思います」
「6年間大切に使ったので愛着を感じていました」

という意見をいただき、
どれも「なるほどな~」と感じる一方で、

「高いし重いのでランドセルじゃなくて良いのではと思っていました」
「同じ理由で、うちはリュックにしていました」

という方もおられました。

皆さんの様々な考えを拝見しながら、どうも私は『他の子と違うカバンだといじめられるかもしれない』というご意見が、チクっと胸に刺さって抜けません。

ランドセルが他の子と違うといじめられるかもしれない。
そう心配になる気持ちは頭では理解出来ます。
出来ますが、なんだかとても寂しい。

協調性を重んじる文化も決して悪いものではありませんが、多様性を認められない事とはまた別の問題です。
もしかすると私も子供も、知らず知らずのうちに、周囲と同じ状態でいる安心感を感じながら育っているのかもしれません。

■ランドセルは日本独自の文化

少し気になりインターネットで検索すると、ランドセルは日本だけの文化だと知りました。

少しだけ、歴史のお話をさせて下さい。

日本のランドセルのルーツは幕末、西洋の軍隊制度を導入する際、オランダの兵士が使っていた「背負いカバン」(オランダ語でransel【ランセル】)を採用した事が始まりだそうです。

そして、のちの大正天皇が学習院初等科へ入学する際に、伊藤博文が革製・箱型のランドセルをお祝いに贈ったことでその存在が広く認知されます。それが戦後の高度経済成長期以降、徐々に人々の間に浸透していき、現在に至ります。

軍用カバンがルーツだから、強度を重視した牛革製がスタンダード。
本革だと流石に高価なので、人工皮革が浸透した現代。
そのルーツを踏襲しつつ、軽量化、カラーやデザインのバリエーションの充実化を図りながら独自の進化を遂げたのが今の日本のランドセルのようです。

一方海外では、リュックサックや手提げカバン、ショルダーバックやカート式のものまで国によって形は様々。そもそも教科書や筆記用具まで「学校に置いてあるものを借りる」スタイルで、毎日の持ち物はお弁当と水筒と体操服のみ、という国もあるようでした。

歴史や他国の文化を知ると、今自分が見ているものが当たり前のものではないと気付かされます。今ここにあるのは、それまでここで生きてきた人々の経験の積み重ねの上に作られた文化である、という事実がただあるだけです。

やっぱり私は色々な選択肢からフラットに考えたいと思うようになりました。

例えば
『丈夫さはランドセルには劣るものの比較的安価なリュックの方が、経年劣化や子どもの成長に合わせて手軽に買い替える事が出来るメリットがある』
という考え方も出来るのではないかな、と思ったりもしました。

それと同時に、子供たちには、みんなと違う部分があっても良いんだと、人の考え方や個性は本当に多くのグラデーションがあるんだと、伝えたていきたいと改めて感じました。

■CARL VON LINNÉから学んだこと

少し調べると、ランドセルのようなデザインのリュックで、より軽量に、より安価に工夫して作られた製品がたくさん販売されていることを知りました。

その中で、個人的に魅力を感じるスクールバッグに出会います。

NuLAND(ニューランド)というものです。

この商品のHPを見た時、もう一つ、PROGRESSで学んだことを私は思い出します。

アパレルの抱える課題の一つ。
大量製造による大量廃棄の問題です。

CARL VON LINNÉを通じて学んだことですが、海外の工場で安く作られた衣類の多くが、アウトレット店にも並ばずにそのまま焼却処分されるという現状があるそうです。日本だけでもその量は年間100万トンを超えるという話もあります。

製造した洋服の廃棄方法や回収方法を提案する目線が今、アパレルブランドに求められているのだとしたら、消費者である私たちは、そんな目線を持ち合わせた企業や製品を、選択する姿勢が求められているかもしれません。

一方でNuLANDは、ポリエステルを含む古着や、衣料品の生産時に発生する端切れなどが原料になっているとの事。
従来の、資源を採掘し、作って、捨てる、直線型の経済システムではなく、廃棄された材料を再び資源として活用する循環型の仕組みです。
これは大切な観点だなと思いました。

ランドセルを選ぶに当たって、その原材料や生産工程について思いを馳せるとは考えもしていませんでしたが、CARL VON LINNÉを通してこれまで発信されてきた問題点に触れていたからこそ、ふと足を止めその重要性について考えることが出来たのだと思います。

これは良いと思い、妻に話すと、実は妻も気になっていたらしく、早速家族で実物を見に行くことにしました。
娘が以前から欲しいと言っていた色がNuLANDにはなかったので、気に入らないかなと思いましたが、実際に背負いながら「この赤いのが可愛い!」と鏡を眺めていたので一安心。皆で納得した上で、娘のスクールバッグはNuLANDに決まりました。

ここで改めて申し上げておきたいのは、私は決して現行のランドセルを否定するつもりはございません。メリットも十分理解した上で、他の選択肢も考えてみたかったのです。

例えば、こんな話もあります。

お子さんが6年間使用した後のランドセルの行き場に、困っているという方はおられませんか?
PG子育て部では、ジョイセフという公益財団法人を通じて、お子さんが使い終わったランドセルをアフガニスタンに寄付された方もおられました。
日本の丈夫なランドセルが、6年間使った後にもう一度違う誰かの笑顔を作れるなんて、本当に誇らしい事だと思います。

▼ジョイセフのランドセル寄付ページ
https://www.joicfp.or.jp/jpn/donate/support/omoide_ransel/

何はともあれ娘のランドセル選びは、楽しく学びながら無事終わったのでした。
来年から頑張ろうね~。

あとがき

私は以前PROGRESS TVで、「HAPPY (H)OUR LIFE」と題して、海外在住のメンバーの方に、日本との文化の違いをお伺いする配信を何度かさせて頂いた事があります。
これまで、シンガポール、スペイン、ブラジル在住の方とお話させて頂く機会を頂きました。
そこで改めて、自分の中の「子育て」「家族との時間」「仕事」に対する価値観は、所属する文化の影響を受けているだけだという事に気付かされると同時に、選択肢が他にもあると知る事で、初めて自分のものさしで合理的な判断が出来るという事を学びました。

また、CARL VON LINNÉプロジェクトや、Youtube大学を通して、私たちが直面している様々な課題・環境問題についても学ばせて頂いています。

何か一つでもいい、学んだことを自分の生活の中で取り入れること。
そこから得たものや感じたことをシェアすること。それを地道に続けること。
それが一番の勉強の方法だと、中田さんの背中は語っています。
その姿勢を、自分にインストールするつもりで、今回この場をお借りしてアウトプットさせて頂きました。

(NuLANDが気になった方へ)
見た目はランドセルですが、軽いと言われる人工皮革のものより約30%も軽量、機能面も細部までよく考えられています。開発・デザイン設計に多くのママ・パパたちが携わったという事で、なるほどと思うアイデアがたくさん詰まっていました。タブレットの収納スペースまであるのは中々の衝撃でした。

▼NuLANDの機能紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=mYSh7pOB24M&t=56s

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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