こんにちは!キャシーこと南です。
あっという間に、オリンピック・パラリンピックが終わってしまいました。選手のことを応援する日々が終わって、寂しさも残りますね。
さて、五輪はコロナ禍で無観客という特殊な状況で行われました。これは、掲載的には五輪特需がなくなることを意味しています。宿泊業や観光業、飲食業などは、五輪で国内外からお客さんがたくさん訪れて、景気が上向くことを期待していた企業は、軌道修正が必要だったことと思います。そんな中で、特需こそ見込めなくても今回の五輪で評価を上げ、今後さらなる成長が見込まれる企業を紹介したいと思います。
トヨタの自動運転カー
利用状況
トヨタはe-paletteなどの電気自動車を東京2020専用車両として東京オリンピック・パラリンピックで使用していました。選手村での選手の送迎に利用されるなどしており、そのエコな取り組みとともに注目されました。
パラでの事故
漫画のような未来が訪れた感じがして、とてもワクワクさせてくれるこの電動車。前途揚々に見えたのですが、とんでもないことがおきました。パラリンピックで選手と接触事故を起こしてしまったのです。
起こってしまった事故をなかったことにはできませんし、選手の方、関係者の方を思うと胸が痛みます。まずは、被害者の方への謝罪でしょう。ただ、ここで次に大事なのは、世間への対応の速さとその内容だと思います。豊田社長は、自ら事故現場に出向き、さらに事故翌日(8月27日)の自社メディアのTOYOTAIMEZに出演して謝罪および対策を説明しました。この時点で事故原因はわかっておらず、自動運転の事故についてのルールもない中での謝罪ということです。
タイレノール事件(ジョンソンエンドジョンソンの鎮痛剤タイレノールを服用した人物が次々に突然死した事件)のように、死亡事故のような最大の危機が迫っても、被害者を救う対策を真摯に講じたことでかえって信頼を増したということもあります。今後のTOYOTAの対応にも注目していきたいと思います。
トップが謝罪・対応するのは、当然と言われてしまいそうですが、特に日本の企業ではこれができないパターンが目に付きます。比較対象にしてしまい申し訳ないですが、ユニクロを展開するファーストリテイリングがウイグル自治区の問題の対応に追われたとき、柳井会長兼社長が「ノーコメント」を貫いたことで集中砲火を浴びた結果、岡崎取締役が決算記者会見で回答したことは、これと真逆の対応と言わざるを得ません。案の定、対応の悪さを批判する記事に溢れてしまいました。
さて、このトヨタの事故から謝罪への一連の対応は、もうひとつの示唆を含んでいると思います。それは、自社メディアを持つことの強さです。迅速な対応ができるということのほか、ストローマン(他者の言論を自己の都合のいいように一部のみ引用したり、歪めて引用するなどして論評する者)の登場を抑えることができます。社長による発表が事故「翌日」だったことを非難する記事も目にしましたが、大きな言論の歪曲はなかったように思います。事故の再発防止に力を注がなければならないので、間違った報道の釈明に追われるような暇はないでしょうね。
キヤノンのカメラ修理対応
話は変わって、五輪・パラの選手ではなく、報道陣を支えた企業、キヤノンの紹介です。キヤノンは大会期間中、メインプレスセンターに故障したカメラなどを修理するためのサービスブースを設置しました。
例えば、バスケットボールの選手が激しいプレーで倒れ込みカメラマンに直撃するなどしてカメラが壊れることは、スポーツの世界ではよくあるのだそうです。ほかにも、ビーチでの競技だと、カメラに砂が入って故障してしまうこともあるのだとか。
そこで、キヤノンはカメラを無料で修理するブースを設けたのです。24時間以内に精密なカメラを修理し、修理されるまでの間はカメラマンが使用するものとなるべく同じ種類の機材を貸し出しました。また、修理だけでなく、カメラトラブルの原因を一緒に考えて解決してくれるなど、手厚い対応が各国のプレスの心をわしづかみにしたようです。
今後、スポーツの世界大会があるときはもちろん、そのほかの報道の場面でも真っ先にキヤノンの名前が挙がるのではないでしょうか。
最後に
すごくつまらないまとめですが、やはり企業であれ、ひとであれ、信頼を得るには、確かな技術に裏打ちされた長期間の誠実な活動が必要なのだなと思いました。トヨタもキヤノンも戦前に創業した名企業で、技術力と丁寧な対応で世界を席巻し、その姿勢を崩していません。もちろん、世界の潮流に合わせて変化すべきところは変化していますが、ひとの最大の武器は技術力と誠実さにあると言っている気がします。
戦略的テイカーとでも言うのでしょうか。美辞麗句を並べて人のために行動しているかのように見せかけるのが得意なひともいます。でも、そういうひとの行動は、他者の幸福のためでなく己が金銭を得るためなのだと、ふとした言動からバレてしまいます。そんな人や企業は好かれませんし、必ず自滅します。もちろん、TOYOTAもキヤノンもまったく不祥事がないわけがないですが、そこは我が身に省みて、自分が行動する時は相手の幸福を真摯に考えられているかどうかを常に問いたいと思います。
*参考リンク*
②TOYOTA(トヨタ自動車、東京2020オリンピック・パラリンピックを電動車のフルラインナップと多様なモビリティでサポート)
③TOYOTA(東京2020パラリンピック競技大会選手村におけるe-Paletteの運行再開と安全対策について)
④CAPA CAMERA WEB(キヤノンに直撃取材! オリンピックの報道カメラはここで完璧に仕上げられていた ─ 東京2020の舞台裏をレポート)