電気のスイッチ

執筆者 | 21/09/17 (金) | コラム

・ぼくの家の電気のスイッチは、
 床から1メートルの高さについている。
 これは一般的な高さより少し低い。
 3年前に中古の家を買って、リノベーションをしたとき、
 低くしてもらうようお願いをしたのだけど、
 どうしてそんなことをしたのかと言うと、
 エレベーターに乗ったり、バスに乗ったりしていると、
 よく小さい子が自分でボタンを押したがる、
 あの感じがなんとも言えず好きだったからだ。

 ぼくも小さいころ、エレベーターのボタンを押すのが好きだった。
 好奇心からなのか、なんなのか、なぜか一番に押したくなる。
 意味はない。
 一番に押したことで、なにか良いことがおこるわけでもない。
 だけど、親に先に押されたりしたときには、
 むすっとすねて困らせたりもしていた。
 ぼくが押したかったのに!、と
 意味もなくを親をワルモノ扱いして。

 今、3才になったばかりの息子は家に帰ると
 背伸びをしてなんとか手が届くそのスイッチに
 一生懸命に手をのばして、
 自分で電気をパチパチとつけて回っている。
 ただそれだけの小さな遊びが
 少し彼を楽しませているのだとしたら、
 ぼくとしては本望だ。

 きのうも息子は寝る前に、
 先に電気を消したぼくをワルモノにしてきた。
 電気のスイッチを先に押しただけなのに、
 もう、パパのこと知らないだから!ぼくおこってるんだから!
 なんて言うもんだから、こまったものである。
 ぷんすかすねる彼に、ごめんごめん、と謝りながら、
 ぼくは心の中では、でもその気持ちもわかるなあ、と
 にやにや笑っていた。

 

 

今日もありがとうございました。
では、また。

(このイラストは、コヴァさんが書いてくれました。コヴァさん、ありがとうございます)


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