先日の「 PROGRESS PUBLICリニューアル半年記念配信」に出演した感想のようなものです。
「配信に出ること、もう無いだろうな」
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表向きには“チャレンジしたい“と言いつつも、内心はずっと諦めていたように思う。
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話すことが苦手だ。
以前ビギナー発掘配信に出演したことは、貴重な経験になった。
とはいえ力を発揮できている感覚は無くて、もどかしさも残った。
コラムやCVLのキャッチコピーでは、幸運にも光を当ててもらえた。
一方で言葉選びのハードルは上がり、勝手にプレッシャーを感じていた。
書くことで積み上げたものを、話すことで壊したくない。
期待を、信頼を、失うのが怖い。
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PROGRESSは仕事の場ではない。
無理をして苦手なことに取り組む必要もない。
それなら、あえて話さなくてもいい。
交流会には出ない。配信にも出ない。
できることは、Twitter、コメント、コラム。
書くことに専念する。
そう決めていた。
決めていた、はずだった。
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「PUBLICリニューアル半年を記念して、“あなたが選ぶベストコラム“配信を企画しようと思っています。清太さんにも審査員ポジションをお願いしたいのですが、いかがでしょうか」
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CVLと学園祭、熱狂の夏が終わろうとしていた。
ほのかな余韻を胸に、それぞれが次の季節に向けて歩み出した9月のはじめの日のこと。
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CVLのキャッチコピーに応募して、学園祭ではたくさんコメントして、朝のツイートもほぼ欠かさずに続けた。
夏を楽しみ尽くした。
それなのに、夏が終わるのが怖かった。
何かやり残したような不安感と、漠然とした孤立感。
僕は一人、切り替えられずにいた。
そんな折に届いた、一通のダイレクトメッセージ。
配信のオファー。
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話すことは苦手だ。
書くことで貢献したい。
苦手なことに取り組む必要はない。
得意なことだけやっていればいい。
ある時はコラムの人と認識されて、
またある時はキャッチコピーの人と言われた。
嬉しい。
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虚しい。
本当の自分を知ってもらえていない気がする。
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得意なことと苦手なこと。
二つ揃ってはじめて、自分なのかもしれない。
知ってもらうには、一体どうすれば。
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前言撤回。
答えは決まっていた。
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「ぜひ、お手伝いさせてください」
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出演を決めてからは、配信のことで頭がいっぱいになった。
とにかく不安だったので、徹底的に準備をしておこうと思った。
話すことは苦手だ。
でも、他にもやれることはある。
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最初に手を打ったのは、ビジュアルだ。
薄暗い画面に、実家感満載の背景が映り、ヨレヨレのTシャツを着ていては、全く話にならない。
縁が無いと思っていたリングライト。
ずっと検討していたzoom背景。
PROGRESSのポロシャツ。
すべて購入した。
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次に、ある程度の文脈が必要だと思った。
僕が書いたコラムが中田さんにピックアップされて、たくさんの方に読んでもらえたのは、5月。
もう誰も覚えていないかもしれない。
もしかしたら僕は、既に“コラムの人“ですらなく、ただの無名に成り下がっているのかもしれない。
とはいえ、コラムなんて急に量産できるものではない。
どうしよう。
頭を抱えながら、紹介するコラムを探していると、幾多の名作に出会った。
これらのコラムは、シェアされない限り埋もれてしまう。
とても悲しい、勿体ないことだ。
本番に紹介できる数も限られている。
そこで、微力だがTwitterで定期的にシェアすることにした。
せめて”コラムを紹介する人”であろうとした。
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そして、原稿は入念に考え抜いた。
今回はコラムを紹介する配信なので、下手に伝えれば、作者のイメージに影響する。
その場でアドリブを効かせて話すのは理想だが、現実的ではない。
それに、話すスキルに特化した中田さんでさえ、圧倒的な量のメモに書き込んで準備をしているのだ。
今やらない理由はない。
しっかり読み込んで、流れをつくり、伝わる言葉を選んだ。
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たった一回の配信に、なぜこれだけの準備をして、想いをかけて、こだわっているのだろう。
仕事でもないのに。
でも、理由なんてどうでもよかった。
4ヶ月前、最初にコラムを書いたときと同じだ。
今本気で走っていることに、価値がある気がした。
走り抜けた先に、何かがある気がした。
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話すことは苦手だ。
でも、やれることはやった。
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もう夏が終わるというのに、新品でピカピカの半袖ポロシャツに、僕は袖を通した。
本番を迎えた。
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「楽しかったです、ありがとうございました」
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zoomの画面に映っていたのは、
紛れもない本音の、本当の自分だった。
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緊張した。
あれだけ準備をしても、
やっぱり僕は話すことが苦手だった。
でも、準備をしていたことは全て出し切った。
一切の後悔を残さなかった。
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話すことが苦手なのも悪くない。
話すことが苦手だったから、コラムを書こうと思えたし、今回の配信のオファーをもらえた。
話すことが苦手だから、本気で準備をしたし、全力で本番に臨めた。
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もう隠さなくていい。
そのままでいい。
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緊張から解放されて外に出ると、少し肌寒かった。
半袖のポロシャツの季節は、あっという間に過ぎていった。
最高の夏だった。
ほのあたたかい余韻を胸に、僕はゆっくりと歩み出した。
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