みなさん、こんにちわ。
2021年1月入会の鈴木リカです。
私は元細胞生物学の研究者で、現在はお酒のお仕事をしています。
これまでTVやTheaterではちょいちょい発信していましたが、本日ついにコラムをはじめました!
主にお酒に関して記事を書いていきたいなと思います。お気軽にご覧ください。
■日本酒と清酒の違い
皆さん、日本酒と清酒という言葉の違い、説明できますか?
この二つ、まったく同じではないのですが、実際はほぼ同義で使われています。
ただし細かいことを言うと使い分けで気になるシーンも…
私の頭の整理も兼ねて、解説していきたいと思います。
■日本酒とは
結論から言うと、「日本酒」には広義の日本酒と、狭義の日本酒があります。
広義では:日本古来の酒
と言っても、広義の日本酒に明確な定義はありません。辞書などで「日本酒」と引いたときに出てくるものです。したがって細かな表現は様々ですが、おおよそ「日本古来(独特)のお酒」という意味を持つ言葉です。この中には清酒、合成清酒、みりんなどが含まれると書かれていることもあります。
つまり、この広義の日本酒は、清酒より大きな概念(広義の日本酒の中に、清酒がある)ということになります。
狭義では:日本産米による日本で製造された清酒
一方で、狭義の日本酒とは、「原材米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒」を指し、これは明確に定義されたものです。
しかし、この(狭義の意味合いでの)日本酒=日本産米による日本でつくられた清酒、ということをご存じの方は多くはないのではないでしょうか。なぜならばこの定義は2015年に制定された、比較的新しいものだからです。
==========ここからはちょっと脱線==========
近年、日本酒は海外で大変人気になっており、海外で日本酒を作る例も出てきています。
ところが、日本酒づくりにおいて重要な「米」、「水」といった原料は基本的にはその土地のものを用いるため、また日本酒づくりの細かなノウハウは蔵ごとに引き継がれているため、日本で作られてきた清酒と海外で最近作られはじめた清酒では、酒質や味が異なります。
そこで、「日本産の(王道の←これは心の声ですが)清酒」をブランド化し、輸出において付加価値を明示・保護しようという取り組みの一環で「日本産米を使った日本で作った清酒だけを日本酒と呼ぼう」ということになったわけです。
シャンパン(シャンパーニュ地方で作られる、決められた製法で作られたスパークリングワイン)、スコッチウイスキー(スコットランド産のウイスキー)と同じようなものだと考えればよいと思います。
===========ここまで==========
話を戻すと、この狭義の日本酒の場合、「清酒の中で特に日本産米を使い、日本で作られたもの」ということになるため、清酒の中に狭義の日本酒があることになります。
■清酒とは
では清酒とは何なのか。これも明確に定義されており、ざっくりいうと「米と水を原料として発酵させ、こしたもの」ということになります。
「こしたもの」という表現が引っかかると思いますが、例えば同じように米と水からできるどぶろくや米焼酎を考えてみると、前者はこしていないので、後者はこす代わりに蒸留してお酒にしているので、清酒とは呼ばない、とわかります。
■使い分けは?
現在、国内で流通している清酒の多くは日本産です。またこの場合、米も日本産であることがほとんどです。
したがって、日常においては狭義の日本酒=清酒と考えて問題ありません。
実際に日本酒のラベルにはどちらの表記の場合もありますし、日常で使い分けを意識して使っている人は少ないと思います。
ただし、あえて「日本酒」と言う方が、日本産の日本酒に対してアドバンテージを付けた感じになるような気がして、私はそうしています(個人の感想です…)。
一方で、「これ外国産の日本酒なんだよー」といういい方は、狭義の日本酒の使い方では正しくない、ということになります。
■おわりに
いかがでしたでしょうか?
同様な内容のコラムはたくさん流通しており、正直内容としての新規性はないですが、「あのお酒の人が書いたのねー!」と気軽に読んでいただければ幸いです。
質問や書いてほしいテーマがあればいつでもどうぞ!
また、Instagramではお酒や料理とのペアリングについて発信しています。知ってる銘柄を増やせること間違いなしなので、ぜひフォロー下さい(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!