サービスがブランド価値を決めた日

執筆者 | 21/10/06 (水) | コラム

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今から20年前、私が台湾に駐在していた時のこと。

 

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私は怒り心頭で台北に車を走らせていた。
朝出社したらThinkPad(ノートPC)が動かない。電気屋を6軒回ったが、どこも修理出来ないと言う。
ThinkPadを選んだのは、IBMが世界的に充実したサービス体制を持っていると聞いたからなのに、一体これはどういうことだ!
最後の電気屋が、台北市のとあるビルの中にIBMのサービスステーションがあるよ、と言ったので怒鳴り込むつもりでいたのだ。

 

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ビルのエレベーターの扉が開くと、そこには天井の高い白を基調とした広々とした空間が広がっていた。
女性が近づいてきて飲み物を尋ねるので「コーヒー」と言ってソファに座わる。
持って来てくれたコーヒーを1口飲むとちょっと落ち着いてきた。
周りを見渡してみると、向かいに1人、右手に2人とお仲間がいて、皆心配そうに自分のThinkPadを抱えて待っていた。
自分と同じ境遇の仲間がいることに、少し安心する。

 

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10分くらいして自分の番になり、カウンターで自分のThinkPadを診てもらう。
彼は「あー、キーボードが壊れてますねー。ちょっと在庫を調べてみますね」と言っているようだ。
直すのにどれくらい掛かるんだろう。3日かな、やっぱり1週間かな。あまり長いようなら文句をつけてやろうと身構えていると。
彼は「キーボードの在庫がありますね」と言う。そして、右手にある荷物専用の小さなエレベータから上がって来たキーボードをさっと受け取ると、彼はその場で修理を始めたのだ!

 

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5分後に私の目の前には、修理が完了し全体をクリーニングした新品のようなThinkPadがあった。これには参った。
一番よいのは壊れないことだ。しかし、壊れて困っているときに自分の想像を遥かに超えるサービスをされると、それ以上に感激してしまう。
彼は「50ドルです」と言ったが、もういくらでもOKという気分だった。
あまりの感激に、柄にもなくその日の夜IBMにメールを打った。「IBMのサービスは最高だ」と。

 

※私はIBMの回し者ではありません(念のため)
※その件があって、しばらく私は海外駐在者にはThinkPadを薦めていました。
※その後ThinkPadは、IBMからレノボに譲渡されたので、今のサービス体制は分かりません。

執筆者 | 21/10/06 (水) | コラム


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