みなさん、こんにちわ。
2021年1月入会の鈴木リカです。
私は元細胞生物学の研究者で、現在はお酒のお仕事をしています。
先月末から自分のアウトプットも兼ねてお酒コラムにトライしています。
昨日はきき酒について書きました。
ここから何回か、各論的に書いてみたいと思います。
まずは色についてです。
■お酒の色
前の記事で、お酒の色については
・はじめは黄緑色
・時間とともに琥珀色へ
・透明にすることもできる
と書きました。
ここで「あれ、なんでそもそも色がついたり変わったりするんだろう」と思いませんか?
メカニズムで知りたい、と思ってしまったので今日はここを深堀りしたいと思います。
■新酒の黄緑色
これはもともと酒に含まれるフラビン系色素(主にはリボフラビン)によると考えられています。この物質自体に色があるのです。
しかしこの物質は日光によって壊れやすい、活性炭(透明にするための処理)によって取り除かれやすい、という特徴があります。
このために、あの色は新酒でしか見かけないのです。
■熟成に伴う琥珀色
琥珀色の由来は「メイラード反応」と、「光による反応」です。
前者は炭水化物とアミノ酸が結合する反応の総称で、これらが共存すれば起こります。
また、その反応は元々の濃度が高いほど、温度が高いほど、時間が長いほど、起こることになります。
お酒にはグルコース(炭水化物の一種)と種々のアミノ酸が含まれているのでメイラード反応は起こるのが普通です。
ただしこの時、もともとのアミノ酸などが多いお酒や、高温で保存した場合、長期に保存した場合などにより顕著に表れることになります。
光による反応も起こる状況としては似ているのですが、原因となる物質が異なります(複雑なので詳細は割愛します)。
メイラード反応は炭水化物とアミノ酸の反応と明確なのに対し、光による反応は必ずしも炭水化物やアミノ酸がきっかけとは限りません。タンパク質やアミノ酸、有機酸などが光エネルギーを受けて酸化することで着色していると考えられています。
お酒の瓶は黒や緑など濃い色が多いですよね。これは光をなるべく透過させないための工夫なのです。
■それ以外の着色
好ましくない着色としては、銅によるものや鉄によるものがあります。これらは通常では起こりませんが、水や機器などから持ち込まれると発生する場合があります。
鉄の場合はキレート体(タンパク質の中に金属分子がホールドされ、独特の構造をとること。この構造のために呈色することがある)による着色ですが、銅の場合はそうではないようです。
■おわりに
今日は生物学的、化学的なキーワードが多くなってしまいました。自分も調べ始めると収拾がつかなくなってきて、これが限界です・・・(笑)
もっと深いことが予想される香りに入ったらどうなってしまうことか…!
しかし、自分には明確に目標を立てたり、そもそも勉強したりすることがやはり合っているのではないかと思ったので、もう少し頑張ります。
きき酒に限らず、質問や書いてほしいテーマがあればいつでもどうぞ!
また、Instagramではお酒や料理とのペアリングについて発信しています。知っている銘柄を増やせること間違いなしなので、ぜひフォロー下さい(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!