みなさん、こんにちわ。
2021年1月入会の鈴木リカです。
私は元細胞生物学の研究者で、現在はお酒のお仕事をしています。
先月末から自分のアウトプットも兼ねてお酒コラムにトライしています。
今週はきき酒をテーマに書いてきましたが、今日はちょっと特別回(笑)
オンライン学会で、お酒ビジネスで成功している方々の話を聞いて触発されたので、
今後のトレンドを勝手に予想して記事を書きたいと思います。
キーワードは【Ethical】【Organic】【Local】です。
■Ethical
これはCVLの価値観にも通じていると思うので、PROGRESSの皆さんには説明不要かも?
Ethicalは日本語で説明するのが難しい単語だなぁと思うのですが、私のイメージでは「倫理的な」という直訳に加え、「社会的な問題に対して、合理的な判断である」みたいなニュアンスが入っているのかなと思っています(違ったらすみません)。
お酒の業界での例として思いつくのは
・廃棄物の原料への転化:廃棄されるコーヒー豆→ビール、売れ残った酒→ジンなど
・酒粕の肥料化:酒造り工程で出てくる酒粕を肥料にし、それでお米を作る循環型農業
・雪/海/ダム貯蔵:お酒は低温で保存するのがベターだが、それを自然の環境で達成する
などです。
従来と比べ、社会問題への対応という側面を付加することで製品にストーリーや付加価値がつき、拡散力・アピール力につながっていると思います。
■Organic
これについては大別して2つあるかな、と思っています。(日本酒に特化した話にはなってしまいますが)それぞれ「米作り」、「酒造り」におけるオーガニックです。
前者は農業×オーガニックなのでイメージしやすいかもしれません。いわゆる「無農薬栽培」「アイガモ農法」「有機栽培」などと言ったものです。最近このようなお米でつくったことを特色にするお酒が増えてきたように思います。
一方で後者についてはどうでしょう。イメージは沸きますか?
お酒は微生物の力を借りてつくる、というのはよく知られたことだと思います。ではその微生物、どこからきているのか、気にしたことはありますか?
微生物というのは自然に空気中に大量に存在しています。食品を放置していたら勝手にカビが生えたり腐ったりしますよね(放置する人は多くないと思いますがw)。
これは空気中に微生物がいることの裏返しなのです。
もっと言えば空気中だけではなく、人間を含めあらゆる生物にも微生物は付着しています。
私が細胞生物学の研究者だった頃には、「人間が一番汚いから、かよわい細胞に悪影響のある菌をまきちらさないよう、気を付けること」と言われていたくらいです(笑)
このように、微生物は身の回りの環境にごく自然に存在しており、もともとはそのような微生物の働きでお酒を造っていたと考えられています。
ところが前回の記事のように、ある香りを強化したいなどとなると、その能力に特化した酵母を使う必要があります。このような酵母は偶然得られることもありますが、ある程度狙ってデザインしている(=変異させたり、特殊な株を選抜したりしている)場合もあります。遺伝子工学に慣れていないとぎょっとするかもしれません…が、実はこのようにお酒造りのために最適化された微生物を使うのが現在の主流なのです。
更にお酒造りでは、主な原料(ラベルに表記されているもの)以外にもいくつかの「アイテム」を使うことができます。これらはお酒造りを手助けするものであり、適切に利用する分には何も問題ありません。
ところがトレンドとして「なるべく自然」「なるべく人工的なものを使わない」というアイデンティティの酒造りが出てきています。こういった蔵では、酒造りにつかう微生物を野生のもの(蔵つき、と言ったりしますが要するにその辺にいるという意味w)にしたり、「アイテム」である添加物類を一切使用しなかったりします。
基本的にはこれでもお酒は造れます。ただしワインなどでもそうなのですが、このようなお酒はコントロールしにくい分、複雑でユニークな香味に仕上がる傾向があります。
作り方を知っている側からするとチャレンジングにも思える面もあるのですが、一般に「無添加」「自然派」系のワードは好意的にとらえられていますよね。またより個性を出しやすい(出てしまう?)という側面もあり、今後もこのような取り組みは増えるのではないかと思っています。
■Local
最後は地産地消、地元の米、地域の人とのつながり的な意味合いでのローカルです。
原料を地元でまかなうことで「地域性」「地物感」を付加できるとともに、仕入れにかかる輸送コスト(ひいては環境負荷)などを低減できると考えられます。
また、酒造りや米作りを体験できるしくみを設けて消費者とのつながりを生み出す蔵も出てきています。
地域の飲食店や出身のアーティストとコラボするといった例もここに含まれるのかなと思います。
どこへでも輸送できるようになってきているからこそ、「そこでこそつくれる・体験できる」をうりにする酒も出てくるのではないかなぁと予想しています。
■おわりに
いかがでしたでしょうか?
理系脳でしかない私が、PGに感化された状態で、ビジネスよりの人の話を聞いたらこうなりました(笑)
おそらくこれまでの記事の中では最もPGのマスに刺さる内容のはずで、もっと面白く書けたらよかったのですが、これが精一杯でした!笑
明日以降はまたおとなしくきき酒について書きたいと思います。
きき酒に限らず、質問や書いてほしいテーマがあればいつでもどうぞ!
また、Instagramではお酒や料理とのペアリングについて発信しています。
スローペースながらも、もう少しでフォロワー100人です!なるべく同じお酒を出さない、お酒はきき酒コメントをつけるという個人的なルールで頑張っておりますので、よかったらフォロー下さい(笑)。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!