作る人、着る人、届ける人。その想い、そのつながり。

執筆者 | 21/11/30 (火) | コラム

皆さん、こんにちは。2020年9月入会の、間宮まさかずです。

昨日、CARL VON LINNÉのYouTubeチャンネルに、新しい動画が投稿されました。タイトルは【ニット帽のタグを付けて頂いた就労継続支援B型事業所さんにお話を伺いました】というものでした。

私は最近、CVLの春夏コレクションなどの新情報をあまりキャッチ出来ていないのですが、仕事が終わった後ふとYouTubeを開くと、たまたまこちらの動画がオススメとして表示されたので、「あ、ちょっと見てみよう」という気軽な気持ちで動画を再生したのでした。

今日は、その動画を見て感じた事を書いてみようと思います。

 

ニット帽のタグが教えてくれるもの。

 

今回の動画の内容について、詳しくは是非実際にご覧頂きたいのですが、少しだけ内容と、それを受けて調べた事をシェアさせて下さい。

今年の秋冬のCVLの新作、ラムウール・ニット帽子のアクセントにもなっているレザーのパッチ部分。この取付作業に関して、神奈川県小田原市にある宝安寺というお寺が母体の社会福祉法人、その事業所の一つ「ほうあんのぞみ」という「就労継続支援B型」事業所の方々にご協力を頂いているとの事でした。

「就労継続支援」とは、障がいをお持ちの方など、一般就労に不安を感じる方を対象に、支援を受けながら働く場所を提供する福祉サービスで、利用者と事業所が雇用契約を結ぶ「A型」と、結ばない「B型」に分類されるそうです。

「ほうあんのぞみ」を運営されるグループは、発達障害のあるお子さんを受け入れる「保育事業」や、今回のような「就労支援事業」、さらには障がいのある方と一緒に実際に運営をする「地域交流事業」と、一貫して弱い立場にある方を支える事業を営まれているように思えました。カプセルコレクション発表の際には、まだ公にされていなかった今回の協力先。決定に至る経緯の中にも村松さんの想いが込められていたのかな、と勝手に想像しながら私は動画を視聴していました。

動画に出演された事業所のスタッフの方の言葉の中で、印象に残ったものがいくつかあります。

 


──生まれつき発達障害のある子供たちを受け入れる保育所は少ない。同様に、卒園後も続く関係性を保つ保育所も少ない。だからいつでも交流出来る場所を作りたかった。

──支援をしている利用者さんの中で社会性が未熟だなと感じる方も、実際に就職を経験するとガラッと雰囲気が変わる。環境が人を変えるんだと実感する。

──「障がい」という言葉をなくしたい。人間誰しも得意・不得意、凸凹があるものだから、出来ない部分ではなく、良い部分や出来る事に焦点を当てる世の中になれば、今「障がいがある」と言われている方ももっと生きやすくなると思う。


 

日々「障がい」と呼ばれるものに向き合うスタッフの皆さんの表情や眼差しからは、その言葉以上に、強い問題意識が伝わってきました。

私自身の経験を思い返すと、小学校までは、教室こそ分けられていたものの、体に障がいを持った同級生の子と一緒に喋ったり遊んだり、友達として触れ合った記憶はあります。しかし、それ以降、現在まで、同じコミュニティの中での直接的な関わりは無く、身近な関心事からは薄れていたように思います。

今回、障がいのある方への「就労支援事業」について調べた事をきっかけに、視覚障害や身体的な障害のみならず、決して見た目には分からない様々な困難が原因で労働環境が選べない人いる事、そしてそんな状況に対して向き合う人々や福祉支援サービスが存在する事を改めて知りました。

その後も何度か再生を繰り返しながら、難しい顔でじーっとYouTubeの画面に食らいついている時、ふと、私は我に返ります。

「あれ。今何の動画見てたんだっけ?」

そう。私はアパレルブランドの動画を見ていたはずが、いつの間にか社会問題に思いを馳せていたのです。

CARL VON LINNÉ。なんてブランドなんだろう。
改めて驚いた瞬間でした。

 

CVLは実に幸福なビジネスだと思う。

 

少し、私自身の仕事の話をさせて頂きます。

私は、建築業界、その中でも電気設備に関わる分野で、設計や施工管理をしています。

働き方改革という言葉が定着して久しい昨今、もしかすると皆さんの業種・業界でもそうかもしれませんが、自分の行った仕事や処理した作業、その結果や成果は、利益と時間で数値化され、効率の良さで評価される事が増えてきたように感じています。

特に現場の規模が大きくなればなるほど、エンドユーザーからの距離は離れ、誰のための仕事なのか、見えにくく感じる事もよくありました。つまり、新築工事に携わっていても、実際にその建物を利用する人の顔が見えない、あるいは声が聞こえないので、仕事で重要視するポイントが「設計図にどう記載されているか」「責任者の発言内容に即しているか」「自社の責任の範囲内か、そうでないか」という点に陥ってしまいがちだった、という事です。これは、仕事として少し空しい事だなと感じる一方で、携わる人や企業の数が多いという構造上、仕方のない部分もあると思います。悩ましい事ですが。

一方、CVLは、生産者や、製造工程に関わる方の顔が見え、声が聞こえる。たとえそれが切り取られた一部分だとしても、込めた想いが伝わるには十分だと思います。

そしてその生産工程が、社会が抱える課題解決の一助にもなっている。利益や効率重視ではなく、価値を重視した商品に一票を投じるという健全な経験を与えてくれます。

さらにそれが、オシャレを楽しみ、皆と一緒に着る事を楽しむエンターテイメントの上に成り立っている。Twitterや配信での皆さんの着こなしを見ているだけで、もっと服を着る事そのものを楽しみたいと思えてきます。

これほどまでに色んな人の顔や想いを想像出来、社会貢献にもつながるアパレルブランドは生まれて初めてです。本当にすごい。これまで中田さんやCVLチームの方の口から何度も語られる事ではありますが、改めて、CARL VON LINNÉというブランドはなんて幸福なビジネスモデルなんだろうと強く感じたのでした。

 

想いを贈り合うこと。つながりを想像し合うこと。

 

私たちの暮らしの中に存在するあらゆるものやサービスは、全て誰かの手によって作られ、届けられています。衣服も、食材も、家も、電気だってそう。そして誰もが社会の一構成員であり、見えない歯車のように誰かとつながり合いながら、互いに影響を及ぼし合いながら暮らしています。だからこそ、自分が行動を変えれば隣の歯車に力を伝える事が出来るし、その力が何か大きなうねりに変わる事だってきっとあると、私は信じたいです。

私は、PROGRESSの中で、このCVLプロジェクトを始め、中田さんやたくさんのメンバーさんのポジティブな発信に触れる事で、何度も何度もこの概念が頭に巡るのを感じました。挑戦する人、応援する人が互いに声を上げ、あるいは「いいね」を押し、ありがとうを贈り合いながら、背中を押されて今日もちょっと前進する。その結果生まれるものが作り出す感動を、何度も体感させてもらいました。私は以前より少し社会や世界が好きになっていると思います。

この感覚を、このつながりを、ぜひ生産工程に携わった方達にも感じてもらいたい。CVLを着る事を楽しんでいる人たちの表情や声を、ありがとうを、生産に携わった方達にも届けられたらとても素敵な事だと思います。仕事のやりがいや生きがい、じんわり温かい日々の満足感は、こうした人と人とのつながりを感じる事からきっと生まれるんだろうなと、今回の動画を通じて改めて感じたのでした。

作る人、着る人、その想いを届け、つなぐ人。
きっと私もその中の小さな歯車の一つなのだと信じて、コラムを投稿させて頂きました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

最新情報にあまり追いついていない私が言うのもおこがましいですが、CVLのYouTubeチャンネルに投稿された動画も、皆さん是非ご覧ください(^^)


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