あなたの経験は、誰かの道標。
あなたが過去に経験したことが、現在どこかにいる誰かの役に立つかもしれない。
今は中学校で先生をしている彼は、大学生の頃、ダンスにのめり込んでいた。
大学時代、ダンスチームに所属していた彼は、チームメイトと一緒にコンテストに出たり、クラブのショーケースにも出ていた。
その激しいダンス会場も好きだが、それだけではなく、地域のお祭りや盆踊りなどにもボランティアとして参加していた。
彼は、踊ることが好きなのだが、地域の人と交流することも好きなのだ。
きっと仲間たちだけで踊るのでなく、見てくれる人がいることで踊れる喜びを味わってきているのかもしれない。
ただ、地域の人たち全員が、ダンスチームのメンバーを歓迎していたわけではなかった。
歓迎どころか、地域のお祭りに行くと、最初は毎回と言っていいほど「怪訝な顔」をされた。
これは僕の個人的な印象になってしまうが、ダンスをしている人は個性を表現するのがとても上手い。
彼がいたダンスチームも、服装や髪型に個性が溢れている人が多く、内面も見た目と同じように明るいメンバーが集まっていた。
そんな彼らがボランティアとして参加したお祭り会場にいるのは、大学生からすると高齢の方。
髪の毛を派手に染めて自己を主張をする時代ではなかった人たちもいる。
そんなお祭りに、派手な服装と髪型でダンスをしている若者たちが参加。
お祭りとは別に、全く異なる文化を生きてきた人たちとの交流会が行われていた。
「だらしない」
「地域を荒らしている」
お祭り会場へ行くと、不安そうに思っているのが容易に伝わってくる。
そんな中でダンスを披露。
「ありがとう」
怪訝な顔をされていたのが嘘かのように、踊り終えると喜びの声をもらえた。
何が良かったのかを聞かせてもらうと、
「楽しそうにみんなが踊っているのが良かった」
ほとんど全員、同じ感想を教えてくれた。
年齢差がある文化が違う人たちに響いたのは、コンテストやショーケースで求められているような技術ではなかった。
「楽しそう」
「一生懸命」
それらが人の心に響いくことを知った。
そんな彼が大学3年生の時、ダンス部で大きな経験をした。
その時の経験は、今でも忘れられなく、中学校で生徒の前に立つ時にも大切にしている。
「この部でどんなことがしたい?」
そんな質問をされることがあった。
部員の1人が、
「ある有名なテーマパークで踊りたい」
と言い出した。
(何言ってんだ?)
チームにいるほとんどのメンバーがそう思った。
ただの大学のダンス部がそんな大舞台で踊れるわけがないと思っていた。
そんなある日、そのテーマパークをクラブ化するという情報が入ってきた。
「ダンサー募集! あなたたちが踊っているストリートダンスを踊ってみませんか?」
アンテナを張っていた彼は、そのニュースをキャッチし、勝手にチームの踊っている映像を送った。
それがなんと採用されたのだ!
驚いている間もなく、本番に向けての練習が始まった。
本番当日。
ステージの裏で、説明を受けた。
「出るからにはあななたちはキャスト。
いつも通り、ゲストに笑顔になってもらうパフォーマンスをしてね」
その言葉で、さらに士気が高まった。
いざ本番。
ゲストの前へ出る直前。ステージ手前の扉は、鏡になっていた。
見上げると、
「あなたのその笑顔で、本当にゲストの前に出れますか?」
と書かれていた。
細部にこだわっている一流の意識に感動した。
そして彼はまた前を向き、その鏡に映る自分に最高の笑顔を作って、ゲストの前へ飛び出した。
ゲストの心に響くように。
◯あとがき
はじめまして、木谷卓哉です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
このお話は、熊谷雅之さん(くまちゃん)が2021年4月8日、PROGRESS TV で話されていた内容です。
https://www.facebook.com/100005091196531/videos/1787734168072939
あとがきでは、今回書く経緯を書いてみようと思います。
長いあとがきですが、よければお付き合いください。
僕は彼のこの配信を見て以来、ずっと書きたいと思っていました。
ただ、
(まだ親しくなっていないからダメだろう)
(そんなこと書いて、面倒なやつと思わるのは嫌だなぁ)
(自分がやりたいことにPROGRESSを活用するってどうなんだ?)
書かない理由を考えるのが得意な僕は、ずっと先延ばしにしてきました。
ただ今年は、
「書く仕事がしたい」
「人の話を聞き、ストーリーや想いを伝える書き手になりたい」
そう思い、やりたいことを始めることにしました。
「◯◯知恵袋の」ように、質問をすれば答えを教えてくれる時代。
有名人やインフルエンサーのような「誰が言っているか」が重要視される時代。
それとは別に、誰かが生きてきた道を伝えることで、どこかにいる知らない人の役に立つのではないかと考えています。
どこの誰のストーリーか分からない。
本当かどうかも分からない。
そんな誰かのためになるストーリーを誰もが持っている。
『はじめたきっかけ』
『やめたきっかけ』
『印象に残っている出来事』
『継続していること』
『決断したこと』
『好きなこと』
「あなたの経験が誰かの役に立つし、誰かの経験があなたの役に立つ」
そう信じて、書いていくことを決めました。
僕だけがおもしろく、役に立つと思っているだけで、人に喜んでもらえるのか分からなくて動けない時期がありました。これまで、自分が好きでも、人が求めていないと仕事にならないのを何度も経験してきています。
PROGRESSに入会して1年経ち、
「いいね!やっていきなよ」
と背中を押してくれる友達ができました。
継続していければ、人に喜んでもらえるかもしれないと思えるようになってきました。
これからいろんな経験を聞かせてもらい、書き続けていきたいと思います。
もしよければ、話を聞かせてもらえたり、アドバイスなどで応援してもらえると嬉しいです。