【教養HR】キミに伝えたいおかねの話(二日目)~事業ってなんだろう~

執筆者 | 22/01/27 (木) | コラム

はじめに

 「職業には難しさがある。もし歌を歌いたいのであれば、自分が歌を歌うことでお金になるかどうかを考えてやらなきゃいけない。ものを作って売れる人間なのかどうかを考えなきゃいけない。でも、大事な事は、それらができなかったときに、絶望するのではなく、お金の作り方がたくさんあることを知ることなんだ。パパはしゃべる仕事をしているけれども、しゃべる仕事だけはしていない。服だって作っているし、カードゲームだって作っている。カールフォンリンネも、ゼロから作っている商品。ZENOは、加工している商品。パパはお金をいろんな風に稼ぐことができている」。

 2021年7月入会の成田です。ビジネス系ライタ―をしています。1.20-22のHRで、中田さんが娘さんにお話しした「お金の話」。「活字にして整理して残したい」と思い、コラムとして掲載させていただいています(一日目の記事はリンクを添付しておきます。勝手ながら、中田さん=パパ、娘さん=キミ、と表記しています。サムネについては、末永浩さんの「切り取り」を購買部で購入、本人ご了承のうえ活用させて頂いています)。

事業ってなんだろう

パパ:昨日の復習するよ。お金の作り方3つって何だっけ?

キミ:それは覚えている。「労働」と「事業」と「投資」でしょ。

パパ:そうだよね。投資はすごくお金が必要だし、労働は時間があればすぐできる。今お年玉があるわけだから、その額をもって、投資には少ないけれども、事業をスモールスタートさせるのであれば、そのお金でできる。僕は労働よりも、事業に慣れ親しんで欲しいと思っているから、今日は事業の話をしていい?

キミ:うんわかった。でも、事業じゃなくて労働から入るっていうのはどうなの?

パパ:それはそれでありだと思うよ。どうしてもお金がないのなら、労働から入るのはいいと思うんだけれども、キミはスタート時点である程度まとまったお金があると思っている。だから、いきなり事業から始めてもいいんじゃないかな。世の中には、学生の頃から事業を始めている人もいっぱいいるんだ。

キミ:その人は、学校を辞めて?

パパ:学校には通いながらなんだ。学校に行きながら事業をやってはいけませんと言う学校、パパあまり聞いた事は無いなあ。例えば両学長だよね。両学長はアルバイトはしてはいけないけれど、小遣いは自分で稼ぎなさい、と言われて、育った。だから、学生時代に事業を始めたんだ。それはすごくいい縛りだったんじゃないかな。

労働してはいけない。でも自分ではお金を作らなきゃいけないって言うと事業に必ず辿り着くよね。つまり、労働がそもそも禁止されている状態を作っているってことがすごく面白い。両学長の家って、金持ち父さんとしての教育の良い作り方だと思うんだよね。

何かモノを買って、「加工して売る」っていうのはどう?

① モノを買って、上乗せして売る

パパ:じゃあ、商売の仕方について考えていこう。思いつく商売を何個か言ってみて。

キミ:「ものを買ってそれの値段を上げて売る」のはアリなの?

パパ:いきなりむちゃくちゃいい質問するね!パパ感動してます。ものを買ってそれに上乗せした!大正解!全然オッケーです!

キミ:えーそれはアリなの!全然楽だね。

パパ:楽だよね。楽だと思うんだよ。だけど、ものを買うとするよ。例えば100円でものを買って200円で売るとするよ。どういう人にそれって売れるかなぁ。逆に、どういう人にそれを売れないんだろう。例えば、そこにコンビニがあるよね。そこのコンビニに売っている100円のガムを、パパは200円で誰かに売ることが可能だろうか?

キミ:買わないと思う。

パパ:そうだね。パパがそこのコンビニ行けば100円で買えるからね。ということは、同じ額で買える人というのは、上乗せの値段では買わないわけ。

キミ:じゃあこれはどう?日本で何か買ってきて、シンガポールで売るっていうのはどう?

パパ:めちゃくちゃいいこと言うね。パパは感動しています。それを輸入って言います。外から買ってきて地元で売る。逆に、地元のものを外に売るっていうのを、輸出って言うんだ。輸入とか輸出っていうのは要するに、この場所だったら買いづらいっていうものを上乗せの値段の理由としてつけているから、上乗せして売れるわけだよね。

だからものを買って上乗せして売るっていうのは、国をまたがなくても、街をまたぐものありです。あと、この野菜は田舎ではとれるけど東京では取れないから、東京で売るとかもあるし。ほんとちょっと場所を移動するとか時間を移動するとか。その人が買えなさそうだな。でも、私は買えるな。だから私が買って代わりに値段を上乗せして売る。これが基本の形だよね。

パパは、君が、「あんぱんを売る」とか、「花屋さん」とか具体的な商売を口に出すと思ったんだけど、「ものを買って上乗せする」って言う「構造」を言ってきた。パパものすごく衝撃を受けています。侮っていました。じゃあ、他の違う商売を考えてみよう。

②モノを買って、加工して売る

キミ:例えば何かのものを買って、それを「加工」して売るっていうのはどう?

パパ:パパ今びっくりしてます。「加工して売る」って言うフレーズが出てきたことに感動してます。それ正解だよ。さっきのはそのまま売るって言う形だった。だけど、場所をずらせば価値が出るから、まとめ買いして売るとか、買い占めて転売するって言うのもある。ナイキのレア物とか。だけど今回は、その次、加工して売る。例えば何を加工して売る?想像してみよう。

キミ:私ね。鳩時計が好きなの。例えば、その鳩時計を買って地味な色味の鳩時計を、金に塗るとか派手な色味をつけるとかして絵の具に塗ったりして。ちょっとおしゃれな鳩時計にして売るっていうのはどう?

パパ:いいです。それはリメイクだよね。例えば普通の無地のスニーカーを買ってきて、それを可愛くデコレーションしたりして売るというのをやっている人はいます。色をつけるとか形を変えるとかはいいね。じゃあもう一つ考えてみよう。

③モノを作る

キミ:加工じゃなくて、絵を描いて売るとかは?

パパ:そうだね!今まで一つもミスらずに全部言ってくれたことにすごくパパは衝撃を受けています。

  • まずはそのまま買って売る。
  • 次は買ったものを加工して売る。
  • その次が0から材料を集めてそれを作って売る。人形を作るとか、折り紙を作るとか、素材から作る。料理を作るもそうだよね。

キミ:私は絵を書くかな、絵を描くのが好きだから。あとこれはどう。日本語って珍しいじゃない。シンガポールでは。漢字とか。だから漢字を書いて売る。例えば、漢字を書いて、下に英語でこういう意味です。ハッピーとかサンキューって言う意味だよって言って。日本語の「ありがとう」とか、「感謝」とか書いて売るのはどう?シンガポールにはないんじゃない?

パパ:それは「書」だね。それめちゃくちゃいいよ。和のもので、書の掛け軸を売るとかはありだよね。

④サービス業って何?

パパ:3つでたよね。ほぼもこの3つに入ると言っても過言ではないでしょう。その上でこの3つとは違うもので1個あるんだけどなぁ。思いつくかなぁ。

キミ:ちょっと質問が広くてわかんない。

パパ:確かにそうだよね。先に答えを言います。今の3つは全部、「在庫」って言うものがあるんだよ。要するに売れ残る可能性があるということ。モノを抱えないといけないから、運んだり、持ってないといけないんだ。

でも、「在庫」がない商売っていうのがあるんだ。それが「サービス業」というやつだ。なんとそれをやっていたのがですねパパなんです!パパはお笑い芸人だったんです。なので、パパは在庫を抱えずに、面白いことをしゃべることを仕事にしてるんです。要するに、売れ残りがないし、加工の費用がいらないんです。

 

4種類の事業は、それぞれ何が大変なんだろう

パパ:4種類の事業がわかったね。ものをそのまま買って売る(=転売)。加工して売る。作って売る。サービスを売る。それぞれの大変さっていうのは何だろう?

①「転売」は何が大変か?

パパ:ものをそのまま買って売るっていうのは何が大変だろうか?

キミ:運ぶのが大変。

パパ:確かに。どこで売るかを見つけなければいけないし、そこで売らなきゃいけないというスポットを探すというのと、スポットに行くっていうのが大変だよね。最近はAmazonとかネット上の場所がある。日本のAmazonとシンガポールのAmazonで置いている商品が違うよね。にもかかわらず、日本もシンガポールも、あまり関係なく、ひとつの「Amazon」って思って買っているよね。

日本のAmazonで検索して出てこないものをシンガポールのAmazonで検索して、それで買ったものを日本のAmazonに、マーケットプレイスプレイスで置くとか、日本のAmazonで買ったものをシンガポールのAmazonでマーケットプレイスで置くみたいなことはできるよね。

パパは、それをお勧めしたい。なぜかというと、シンガポールにいる人が、日本のAmazonで買うって言う発想がまずない。ネット上なので、自分は移動しなくても知識があれば、ネット上を移動して、そこで買い付けて売るってことができれば、十分、「移動している」ということになる。

もちろん、シンガポールのAmazonで買って日本で売ることになると、そのアカウント開設しなければならない、手間だよね。その大変さはあるけれども、売れるものを見つけるということさえできれば、自分のクリエイティブを発揮しなくても良いから1番やりやすいと思う。

②「加工」は何が大変か?

パパ:逆に加工するとなると、アイディアが必要だよね。既に、良いものがあるけれど、それに+ αをしたらより売れるだろう。でも、この+ αが何なのかっていうのを、考えなきゃいけない。これは地味な色だから色を足したとか。パパもこれをやったことがあります。これがZENOだ。つまり、このカードゲームは既に売れている。だがデザインや世界観にプラスアルファを加えれば、もっと売れるだろう。これがZENOだ。

「ラブレター」という商品をパパが許可を取り、加工して、さらに広告を広めて売った。だから、どう加工するか、というアイディアとセンスが「転売」よりも、少し必要なんだ。さっきの「転売」では、リサーチが必要だったけれども、今回はリサーチとともにアイディアが少し必要なんだ。

③「作る」は何が大変か

じゃあ次、絵を作って売る、人形作って売るっていう、0から1を作るためには、さらにアイディアとセンスが必要だよね。君は鳩時計が欲しいといった。だけどパパはあまり鳩時計を好きじゃない。だから鳩時計売り始めても、パパは買わないかもしれない。パパは、君のことが好きだから買うけどね。だけど鳩時計を君以外の人が売っていたら、パパは買わないだろう。

逆に、パパはドクロが好きなんだ。ドクロの指輪を作っていたことがあった。「幸福洗脳」を立ち上げていたときに売っていた。でもドクロ好きじゃない君が、ドクロの指輪をプレゼントされたとしたら嬉しい?

キミ:嬉しくないし欲しくない。

パパ:プレゼントされても嬉しくないし欲しくないものを10,000円や20,000円で君は買う?

キミ:絶対に買わない

パパ:ただでも嫌なのに10,000円では絶対に買わない、そういうこと。でもパパは好きなの。これどういうことかわかる?作りたいものを作っても売れないってこと。自分が作りたいかどうかということと、その商品が売れるかどうかは全く関係がないってこと。どころかむしろ邪魔になる可能性がある高いんだよね。

つまり、どれぐらいの人数の人が何を欲しがっているかって言うのをわかった上で、市場では手に入らないものを自分が作り出す。圧倒的なセンスとクリエイティビティーが必要になってきます。これは市場で売れているものを、他の場所で売るというリサーチ力。加工して売るという、アイディアの+ α。とはもっとレベルの違う、クリエイティブと努力が必要なんだ。

ものを作って売るって言う商売はみんな憧れるよね。人形を作って売りたい。絵を描いて売りたい。だけど、大事なことは、「売れる」ものを作るということと、「売りたい」ものを作る、ことを両立させなきゃいけないってことなんだ。

④「サービス業」は何が大変か?

パパ:では、最後の「サービス業」だ。パパはお笑い芸人だけど、君だったら何がいい?

キミ:私、歌が好きだから歌がいい。

パパ:そうだね。では、何が必要になるだろうか?

キミ:才能?

パパ:その通り。誰もがお笑い芸人になりたいし、誰もが歌手になりたい。在庫がいらないから、とてもメリットがありそうに見える。歌ってお金になる、踊ってお金になる、喋ってお金になる。これは無限に商品が作れるから、誰がどう見たって最強の商売にみえるよね。だけどみんなが目指して誰しもがなれない。だから、実はとんでもない時間がかかってるんだよ。

一流の歌手というのは、とんでもない時間をかけてボイストレーニングをする。喋って面白い話ができる人も、とんでもない時間をかけて努力をしている。野球選手の場合、とんでもない時間をかけて、練習をしているにもかかわらず、ほとんどの人がふるいに落とされてその職業に就くことができない。そういう狭き門だから成立してるということなんだ。

お金の稼ぎ方はいろいろ

 パパ:職業には難しさがある。もし歌を歌いたいのであれば、自分が歌を歌うことでお金になるかどうかを考えてやらなきゃいけない。ものを作って売れる人間なのかどうかを考えなきゃいけない。でも、大事な事は、それらができなかったときに、絶望するのではなく、お金の作り方がたくさんあることを知ることなんだ。

 パパはしゃべる仕事をしているけれども、しゃべる仕事だけはしていない。服だって作っているし、カードゲームだって作っている。カールフォンリンネも、ゼロから作っている商品。ZENOは、加工している商品。パパはいろんな仕事をしている。お金をいろんな風に稼ぐことができている。

 


まとめ

  • 誰しもどの職業を選ぶこともできるし、並行してやるということもできる。そして、自分にどれが向いてるのかっていうの見極めながら自分のかける時間をバランスを配分していくっていうことが大事なんだ。
  • だから君が歌手にやってみたいとか絵描きをやってみたいとか何を言うかわからないけどパパは絶対にそれを否定しない。君に歌手はなれないのか絵描きにはなれないのか僕は絶対に言うつもりはない。だけどなれるかどうかはすごく厳しい世界だって事は確かだからチャレンジをした上でこれは厳しい仕事のやり方なんだ、これは誰もが狙っているけれど難しい、ということを考えながらやるって言う事。
  • 少しずつチャレンジすることで、お金というものすごい大事なものを「稼ぐ力」を手に入れるっていうことがすごく大切なんだ。今日の授業はこのくらいです。おやすみなさい。

執筆者 | 22/01/27 (木) | コラム


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