126いいね！
読み込み中...
◇見えない未来
progressに出会ったのは2020年でした。
その頃、世の中はコロナ禍のニュースばかりでしたが
我が家は夫（矢野康弘）と二人で文字通り、暗中模索していました。
夫は、2017年から「眼球使用困難症」という希少難病にかかり
視覚障がいとなりました。
研究もほとんど進んでいなくて治療法も確立していない難病のため、
自分たちで情報収集してあらゆる治療を試していました。
数年かかって、それでも難しいとわかって
この障がいを抱えながらどうやって生きていくかを考えなくては、、、
そんなことを話し合っていた時期でした。
パソコンやスマホはもちろんあらゆる光を避けて過ごすという特殊な生活の中で、何のために生きていくのか、目標も未来も全く見えなかったのです。
それまで夫は、お笑いの裏方や
歌を歌って全国をまわる歌手としての仕事で生活していたので、
仕事として継続することは到底無理でした。
職業でも生きがいでもあったあらゆるエンターテインメントが
人生から急に消え去ってしまったこと、
そして、目を使えないことで
自分ひとりの力で日常生活を送ることが難しくなって
本人は生きる気力も失って絶望していたと思います。
部屋から出られず、何も見られず、誰にも会えない。
心がとんでもない重さでどんどん沈んでいくのが見えました。
毎日その重たい心をすくい上げる作業は、想像以上に大変でした。
正直自分を、めちゃめちゃ無力だな、って思いました。
わたしに何かできるんだろう。
◇YouTube大学との出会い
その頃に夫婦で聞くようになったYouTubeチャンネルが
中田さんの「YouTube大学」でした。
映画も、ドラマも、漫画も、見られなくなった夫ですが
あっちゃん（感謝を込めて、あえてあっちゃんと呼ばせてください）の演じる
文学や、偉人、歴史のドラマを「面白い、面白い」と言って
動画が公開されるのをいつも楽しみにしていました。
耳で楽しめるエンターテインメントとして、
最高のものをいつもあっちゃんが届けてくれました。
数ヶ月後には、CMで知った「progress」ってどんな場所かな？
ちょっとのぞいてみよう、ということになりました。
新しいコミュニティに入るのは
不便が多い夫にとって、とても勇気のいる決断だったようです。
2020年10月
入学したその日から毎朝、あっちゃんのHRを聴くのが夫の日課になりました。
病気になってからはルーティンを失っていたけど
朝９時にあっちゃんの声を聴いて「おはようございます」とわたしが代筆する生活が始まりました。
その日からprogressでの活動はすべて二人三脚。
Facebookを開くことも、コメントを残すことも、廊下につぶやくことも、ひとりではできないため
HRを開いたり、挨拶を書いたり、返信を読んだり、ツイートするのも
いつも一緒に、読み上げて打ち込んで、という形で参加しています。
体調が優れない日は、アーカイブのこともありますが
あっちゃんのHRを毎日欠かさず聴いています。
そんな夫にみんなが交流している様子を伝えると
progressで「友達がほしい」と心の内を話してくれました。
みんなのアイコンもお名前も、コメントもつぶやきも
見られない中で、どうやって交流しよう・・・？
◇友達がほしい
はじめは、
HRの最後にZOOMに入っているメンバーさんのお名前をあっちゃんが毎日呼んでくれるので、
最後までHRを聴いて皆さんのお名前を覚えるところから始めました。
毎日聴いていたら「この人はどんな人なんだろう？」と知りたくなり、
そのメンバーさんの自己紹介を聴きにいくこともありました。
そして、わたしもメンバーとして交流していこうと思い
追って入学したのが2021年7月。
その夏のオンライン学園祭では、
たくさんの方のご協力とご理解のおかげで
夫の歌う曲に合わせて、みんなの笑顔をつないだ映像で
初めて企画に参加するという夢が叶いました。
【学園祭・みんなの「SMILE」映像】
https://www.facebook.com/1824618042/videos/651168263000299/
こうして、だんだんとメンバーさんのことを知っていった頃
progressに「ラウンジ」という場所が誕生したのです。
2021年の秋、夫の入学から1年後のことでした。
今まで一方的に知っていた
あっちゃんがHRで呼んでいたお名前の方、
配信を聴いてくれていた方、
そして、あっちゃんご自身もラウンジで声をかけてくれました。
ひとりひとり、今でもどんなお話をしたか覚えているくらい
本当に本当に嬉しくて、
こういう場所を作ってくれたあっちゃんや運営の皆さんに
今でも心から感謝しています。
ひとりで家にいる状態がかなり難しい夫なので
私自身もここ数年はほとんど外出もしていませんでした。
友達と雑談したり、くだらないことで笑ったり、
そんな何気ない時間をpgで叶えることができました。
昨年末、わたしの祖母が亡くなった時、こんなことがありました。
今までの二人きりの生活だったら
長時間家を空けることができないので、
葬儀に参列するのも難しいとあきらめかけていました。
その話をすると「行っておいでよ」ってみんなが声をかけてくれて
ラウンジで夫の留守番をみんなが交代で見守ってくれる、ということに。
朝から夕方までの長時間の外出。
何年ぶりだろう、こんなに夫と離れるのは。
以前のわたしにとっては考えられないような長い時間でしたが
みんなが、代わる代わるラウンジに立ち寄ってくださり
葬儀の当日に祖母に会いにいくことができました。。。
あの時に心に刻まれたのは
二人三脚で生きてるんじゃないんだ、
三人四脚、五人六脚、、、って
みんなに支えてもらって毎日があるんだ、ということです。
progressで友達ができて、
なかなかオフラインでは会うことは叶わないですが
こうしてみんなの優しさをもらって
日々過ごさせていただいています。
「次の目標は、みんなと学園祭に出たい」と夫も頑張る目標を持てています。
それが叶っても、叶わなくても
あの頃に比べたら、目標を見つけて
明日が来ることが楽しみなだけでも大きな変化です。
おかげで、外出するトレーニングをしていくきっかけができました。
◇みんなが誰かの救いになっている
あっちゃんが最近のHRで
「静かに森で冷たくならないで」とお話されていました。
もしここであっちゃんやみんなとの交流がなかったら
そうなっていた未来があるかもしれない。
二人で森の土の底で冷たくなっていたかもしれない。
前を向いて、希望の光を探そうと思えることも
次の目標へ向かって歩み出す勇気を持てることも
あっちゃんがいて、みんながいるから。
progressで出会えたすべての方に、感謝を伝えたいです。
ありがとうございます。
何者かになりたい、とか
そういう思いは、わたしも夫もまったく持ってなくて
ただ「普通に友達がほしい」それだけです。
おしゃべりしたり、笑いあったり、
美味しいもの食べたことや、明日のお天気のこと、
そんな何でもないようで、とてつもなく幸せな瞬間を共有して
ただただできるだけ続けていきたいだけです。
ずっと穏やかにニコニコしていられたらいいな、っていう
そんな感じで今もpgに居させてもらっています。
お仕事のこと、家族のこと、健康のこと、将来のこと、
みんないろんな不安や悩みを抱えて生きてると思います。
価値観も生活も、人それぞれ違います。
わたし自身も介助や在宅仕事をしながらで、スローペースです。
ご事情があってオンラインでつながることが精一杯という方にも
メタバースを利用したコミュニティや
progressのような場所が
とんでもない救いの場所になっているのでは、と思います。
我が家はちょっと特殊ではありますが
こんな形でもprogressに居場所があるんだってことを
お伝えしたかったです。
上とか下とか、是や非じゃなく、
目の前にいる友達や仲間が
ちょっとだけでも幸せになれるような言葉をかけたり
応援することを、わたし自身もこれからしていきたい。
そうやって、あっちゃんやみんなからもらっているものを
お返ししていきたいと思う今日この頃です。
そのことを、どこかに記録しておきたくて
初めてコラムに書くことにしました。
とても長いものになってしまったけど
どの瞬間も大切で、、、！
最後までお読みいただきありがとうございます。
みんな、大好き！！！❤️❤️❤️
pgTVより：
動画に顔出しして、リハーサルに立ち会った配信（2022年10月）https://www.facebook.com/1824618042/videos/5564391850342247/
学園祭・紅白歌合戦で流してもらったみんなの「SMILE」映像（2020年8月〜2021年1月）
https://www.facebook.com/1824618042/videos/651168263000299/
希少難病になる辛さ〜PG医療情報部配信〜（2021年12月）
https://www.facebook.com/100003064653484/videos/3107677872893175/
入学して最初の夫の自己紹介
今より症状が軽くて動画で投稿できた頃（2020年10月）
https://www.facebook.com/1824618042/videos/10215081771157399/
外部の参考サイト：
※NHKラジオ「眼球使用困難症」を知っていますか？（2020年11月出演）
https://www.nhk.or.jp/heart-net/shikaku/list/detail.html?id=47255
※厚生労働省の調査報告書（2022年3月）
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000963611.pdf
※フジロックから朝霧JAMへ、桑田研究会バンドやのっちの現在（2019年10月取材）
http://fujirockers.org/?p=15158