ニワトリのオートファジー

執筆者 | 21/04/07 (水) | コラム

おはようございます。武田です。

今回はニワトリのオートファジーについて書きたいと思う。農的暮らしをしたい場合は、ニワトリを飼うと何かと役に立つ。肉にもなるし、卵も得られる。残飯の処理もしてくれるので大変重宝する。

しかしニワトリを買うのも高いと思う。そこで無料でニワトリをもらい、それを復活させていく方法を書いていく。これはニワトリの話であるが、私たち自身とも重なるところが多くあるかもしれない。

ちなみに、写真は私たち家族が住んでいたところである。ここも無料で借りた。

 

捨てられるニワトリをもらう。

前回のコラムでも少し触れたが、私たちは、富士山麓の学校の校庭ほどある敷地で廃トレーラーを改造し、太陽パネルを取り付け妻と当時1歳か2歳の息子とで住んでいた。敷地はたくさんあるので、ニワトリも飼っていた。

ニワトリの活用はさまざまである。生ごみを処理してもらったり、雑草を取ってもらったり、目覚ましの代わりになってもらったり、もちろん、卵もいただく。

養鶏場では、卵で得られる収益と餌に費やされるコストとのバランスを見て、経済的に合わない場合は、処分されるのが通例だ。

しかし、処分するにもコストがかかるため、引き取ってくれる人がいると、業者も大助かりで、おかげでいつでも引き取ることができた。

 

弱ったニワトリを復活させる

廃鶏の多くは、毛も禿げているところがあり、多くはトサカも折れていた。精神的にも安定していないものが多い。1つのゲージでたくさん鶏を入れられるストレスによることもあるだろう。卵を、最大限産ませるために、24時間灯りをつけたままにし、普通なら病気になるところ、を大量の抗生物質を餌に加えることも原因のひとつにあるかもしれない。

その鶏たちをどのように復活させるかと言うと、運動するスペースを十分に与えながら、10日から2週間、断食させるのである。まさに、オートファジーである。

断食することで、体内に溜まっていた毒素を体外に吐き出し、体質改善を図る。実際には、断食で体力が持たない鶏もおり、残念ながら2割くらいは亡くなってしまう。

しかし、生き残った8割の鶏は、羽根もきれいに生えかわり、健康体に生まれ変わる。そして、大きさや形は整っていないものの、しっかりと卵を産むようになるのである。

5,000坪以上ある広大な敷地を自由に動け回れるのだから、鶏にとっては、天国だったと思う。目つきも変わってきて、生き生きとしてくる。

 

環境の大切さ

経済動物として生き自由を手にした鶏の姿が、私たちになぞられる。廃鶏として引き受けた鶏は、本当に精神的にも、肉体的にも病気になっているものが多い。しかし、それは鶏に責任があるのではない。

鶏が、生きるのにふさわしい場所でなかったから、病気になったのである。鶏にふさわしい環境があれば、鶏は再び元気になる。それは、人も同じだろう。

精神的に疲れている人、社会で漠然とした不安や恐れを抱いて苦しんでいる人は、その人に問題があるのではなく、その人にふさわしい環境や社会が、今は育っていないだけという可能性も否定できない。

私も過酷な仕事をしていたとき、精神的におかしくなりそうになったことがある。辛くなったとき、自分を責めることなく、まだ、自分にふさわしい時代が来ていないだけなのだと努めて思うようにし、楽になったことがある。

自己責任の大切さを説く人は多いが、社会や環境のせいにして、まずは自分を責めるのをやめてみるのも得策だろう。『人に優しく、自分にはもっと優しく』が私たちのモットーとしている。

執筆者 | 21/04/07 (水) | コラム


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