どうも、中村直樹です。
今回は私が大学院で教授に言われたきつい一言『国家資格を取ったからといって専門家とは言えない』について説明し、誰でも簡単にスペシャリストになれる方法を紹介したいと思います。
国家資格保持者は専門家ではない
私は4年間夜学の専門学校に通って理学療法士の国家資格を取得しました。
そこでは専門学校の字のごとく、専門家になるための勉強を毎日行っていたつもりでいました。
先生も、「あなたたちは、専門家になるのだから・・・」と言って膨大な量の知識を詰め込むことを繰り返していました。
忘れもしません。
たった半年で人体にある骨と筋肉と神経を全て覚えさせられました。
人間やればできるもので、大半の生徒は覚えてしまうものです。
4年間のうち3年間は他の教科も同様に膨大な量を暗記することに重点が置かれていました。
残り1年間は実習と国家試験対策です。
晴れて国家試験に受かり、専門家になったと浮かれて大学院に進学すると、教授に冒頭のセリフを言われてしまいました。
国家資格保持者は専門家ではないのです。
専門家とは研究者のこと
教授は続けてこう言いました。
「専門家とは研究者のことだ。研究をしない国家資格保持者は目隠しをして車を運転するのと同じだ。もっと言えば、日本語で研究する者はモノクロのような景色で運転をしていて、英語で研究する者がようやくカラーの景色で運転をしている。」
眼から鱗でした。
まさに私は目隠し運転で臨床に立つところでした。
早々にこの指摘をして頂いた教授に感謝しつつ、私は『英語で研究する』という分厚い壁を突破できるのか、ひいては大学院を無事に卒業できるのか心配になりました。
先ほどのセリフ、皆さんの中にも同じように感じた方がいらっしゃるのではないでしょうか?
ご安心ください。
今回はその解決方法をご紹介いたします。
論文を読むだけでも研究
結論から申し上げますと、私の心配は杞憂に終わりました。
大学院1年目の作業がそのソリューションと言えます。
研究というのは何も実験をしたり、現場で調査をしたりするだけではありません。
研究者の初歩的な作業はパソコンとにらめっこをすることから始まります。
現代社会ではインターネット上に膨大な情報が溢れかえっているのです。
当時、私はインターネットが宝の山だと思いました。
その宝の中から、自分の興味分野をめっちゃくちゃ細く絞って、これまでに出された論文を全て読むことが研究者(専門家)の登竜門です。
お気づきの通り、細く絞れば絞る程、論文数は少なくなり、作業を簡略化できます。
この方法をシステマティックレビューと言います。
レビューはエビデンスレベルが高い
初歩的な作業と述べましたが、実はシステマティックレビューは小規模の実験研究(横断研究など)なんかよりよっぼど価値のある研究方法です。
よくコントロールされたRCTと呼ばれる実験研究と同等の価値があります。
ただし、システマティックの部分、つまりどのように絞るかという点が肝心です。
全く都合の良いやり方でやってはいけません。
ここは何が求められているのかという研究者の間で最も興味がある部分を詰める必要があります。
また、レビューの部分、つまりその論文をどう読むかということもコツが要ります。
基本的には『批判的レビュー』です。
こう言うと日本人の感覚では論文にケチをつければいいのかという風に受け取りがちです。
私もそうでした。ごめんなさい。
批判的レビューというのは、ケチをつけるのではなく、客観的に読んでその内容がどう価値があり、どの点に限界があるのかを示すことです。
例えば、よくあるのが新規性、これまでに試されたことがないという論文は価値があります。
また、サンプルサイズが小さいという限界についてはほとんどの論文に対して言えます。
このように、論文の長所や短所を正確に捉えるのが批判的レビューです。
誰でも簡単にスペシャリストになる方法
さて、前置きが長くなりましたが、ここだけ読んで頂ければ幸いです。
システマティックレビューの方法です。
私は理学療法士で医療工学修士ですので、検索エンジンはPubMedです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/
それ以外の専門サイトはよく知らないのですが、おそらくあるはずです。
Googleスカラーを使えばほとんどの分野をカバーしていると思います。
https://scholar.google.co.jp/
さて、検索エンジンがわかれば後は検索するだけです。
PubMedの場合、キーワードを””で括ればand検索ができます。
もちろん英語です。
英単語が分からなければ、先にGoogle翻訳で調べておきましょう。
これで何万本もある論文を一気に100本程度に絞ることができます。
そして興味分野をさらに焦点化して、例えば2000年以降、年齢、性別、研究方法、地域、部位などで絞っていきます。
するとどうでしょう、たったの数本になる場合もあります。
全て読んでも数日で終わります。
私の研究は国際理学療法学会にアクセプトされましたが、その分野のレビューはたったの5本でした。
もちろんGoogle翻訳と教授には大変お世話になりました。
でもこれで世界最先端の研究者の仲間入りなのです。
胸を張って専門家と言えます。
ちなみに私は腰痛の専門家です。
論文にするにはちょっとハードルが高いですが、最新の論文を読むだけなら誰でもできます。
『英語で研究』という分厚い壁、とても薄っぺらく感じませんか?
ではまた。