過熱するオークションとプペル事件
オークション企画で想像より値段が上がってしまった場合の対処は実は重要なポイントだ。
僕たちが忘れてはいけないモデルケースとして、キングコング西野さんのプペル失業保険事件がある。
その事件を知らない方へ説明すると、西野さんは自身のオンラインサロンで、映画えんとつ町のプペルの台本とチケットのセットをサロン内限定で販売しており、その台本の購入者は転売自由とされていた。
そんな中、そのセットを80セット(24万円分)購入した人が現れた。しかも、その資金は絶賛失業中の自身の失業保険全額であったという。
さらに、その人はどんな意図か「転売できなかったので自分で80回見に行きます!」みたいなnoteも公開してしまい、良くも悪くも世間に知れ渡り話題となった事件のことである。
基本的には本人が納得してるなら良いという話しなので、コトの是非は論ずるつもりはないが、気をつけなければならないことは、世間がそれを許さなかった事実だ。
世間からは買った本人への呆れの声が多かったが、やはり販売者でありオーナーの西野さんへも強い反発があった。
批判の多くはマルチと宗教
批判には大きく分けて2つあった。
一つは、販売手法がマルチ商法と同じであるということ。
これは台本チケットを自由に転売できるという触れ込みが、マルチ商法のように、売れるはずのない商品を利益が出るかのように装って最初に大量に買わせたという認識に繋がってしまったことから発生しているのだと思う。
そしてもう一つの批判が、やはりオンラインサロンは宗教であるというものだ。
興味のない人からしたら価値がない(少ない)ものを、高価で販売していることがまさに宗教的だという批判である。
これらの批判は、購入者が無職であり失業保険を突っ込んでいるという、麻雀で言えば小三元が成立している状況に、オンラインサロンという要素が重なり、大三元、役満になってしまったたことは間違いない。
一応ついでに役満の内訳も正しく解説すると、西野亮廣で四暗刻、プペルで字一色、マルチ販売で四槓子と、クワトロ役満で192,000点となる。
さて、話を今回のオークションに戻そう。
先の例に見るマルチ販売であるという批判と、宗教的であるという批判は、今回のオークションにも当てはまらないでもない。
痕跡ノートはyoutube大学に興味のない人には価値が伝わりづらいものである。(そう言うと世の中のほぼ全ての商品がそうであるが)
さらに、購入後は自由に使って良いとされるノートだけに、独占しても、お店に飾っても、元より高く売っても、「失業保険を全額突っ込んで中田敦彦の勉強ノートを買った件」というnoteを投稿しても問題はない。
結論としては、西野さんと同じで「本人が納得しているなら問題ない」となるが、同時に、西野さんと同じ問題に直面することは想像に容易い。
外から見えるオンラインサロン
本来の価値(純粋に言えばノート代1500円)を大幅に超えた金額を、クローズドなオンラインサロンでメンバーに販売している。
これをサロン外の人が聞いたとして、どう思うだろうか。
普通に考えたら「ああ、やっぱり宗教だったんだ」となるだろう。
もちろんサロンの情報は外部流出禁止なので、外の人が~という論は無駄かもしれない。
しかし、今回の件は「良かれと思って喋ってしまう」危険性も多分に存在するとも考えられる。
中田さんのノートは美術品と同じ!やっと正当に評価されて嬉しい!中田さんは凄い!と思って、嬉しくなって話す人がいる可能性は否定できない。
そういう場合は、本人もポジティブな情報を発信しているつもりで、傍から見ると一歩引いてしまう、悲しい状況が発生する。大きいセミを喜んで差し出してくる子供みたいな感じだ。
そして、実はサロン内の情報は、そもそも流出させる行為は禁止だが、万が一漏れても、何か大きな火種になることは無いように設計されている。
中田さんがラーメン二郎を作っていても、新ブランドを作っていても、世間の人がそれを叩く理由にはなり得ず、某お笑い事務所の出来事は、その同業者からはスナイパーを雇われてしまうとしても、世間的な悪者になる理由にはなり得ない。
しかし、今回のオークションは、もちろん背景こそ異なれど、西野さんのプペル失業保険事件と要素として重なる部分がある。いや、価格だけで言えばその何倍にも膨れていく可能性がある。
そうなると、いくら収益は全額寄付していますと言ったところで、素晴らしい社会貢献と捉えられるよりは焼け石に水と言った具合で、ファンに大金で何かを売りつけているというネガティブな要素に注目が集まってしまうことは避けられないだろう。
これを防ぐには「入手方法およびオークション情報の外部公開の禁止」を敷けば良いともいえるが、そもそも堂々と言えないイベントを開催するのはどうかという倫理観の問題は残る。
普通に考えれば八方ふさがりのようだが、これまでも様々な発表をエンタメとして乗りこなして中田さんのことだから、堂々と前言撤回することも有り得るだろう。
このイベントを一歩引いて批判をするのは簡単だが、楽しみに参加をしている人もいて、実験を楽しむ人もいる。行動を否定される理由は何もない。
少なくとも私は誰かを傷つける意図はなく、なので結果を予想しつつ、自分なりの分析を加えてみた。
ともあれ、これらの流れを全てエンタメとして楽しめるのがPROGRESSの面白いポイントなので、サロン内では現状に一喜一憂する必要すらないのかも知れない。
僕らはただ行く先を見守るだけで楽しいのだから。
※オークションはこの記事の投稿10分前に中止されました。この記事は悔しさに咽び泣きながら勢いで投稿します。