アメリカコロナワクチン事情(ニューヨーク編)

執筆者 | 21/04/30 (金) | コラム

アメリカのコロナワクチン事情について(ニューヨーク編)

今回の授業はコロナワクチンに関する事と聞き、またその本は米国機関在籍の免疫学者の方がお話しになった内容の本とのことでしたので、実際にこの1年を通して感じたこと、接してきた情報、私自身の決断、決断に至った経緯などについてお話をさせていただきたいと思います。

コロナウィルス蔓延の始まり:

私の仕事は団体ツアー旅行やイベントの手配、マネージメントです。

3月の上旬に来た最後のグループは、本当に閉鎖のギリギリに東海岸を縦断していました。ボストンからニューヨークに着いた翌日には、ブロードウェイミュージカルの劇場が全て閉まってしまうという前代未聞の出来事が起こり、その日に観るはずだった高額チケットは全て払い戻されました。

一部の美術館も閉鎖、手配していた夕食レストランのマネージャーには「アジア人のお客を受け入れて、うちのレストランスタッフは無事でいられるの?」とあからさまに言われてしまい(この時は「チャイナウィルス」という言葉が巷を駆け巡っていました)、戸惑いながらも、「私達のお客様は毎日検温して、誰一人健康を害している人はいない、私が保証する!」と、いったいどうやって保証するのかなんて考えもしないまま、必死にその場を取り繕っていました。

そのグループが最終地のワシントンDCを出発した直後にロックダウンが始まり、世界中で一番感染率が高く、危ない場所として、ニューヨークはその名前を、つい1か月前とは全く違う意味で知れ渡ってしまうこととなりました。

ニューヨーク州の対応:

ニューヨーク市民が今までに経験したことのない恐怖におののいていた時に、心の底から感謝したのが、ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモ知事の行動力でした。

アメリカでは、各州民の健康や安全に関しては州政府が責任と権限を持ち、緊急宣言、外出禁止、州間の移動制限などを発令できます。大統領は各州への強制力を発動することは出来ません。そのため、たまに名前だけ聞いていた各州の州知事が、急遽クローズアップされることとなりました。

クオモ知事は3月の中旬から110日間毎朝一日も休むことなく、定例記者会見を行い、毎日「データと事実に基づいて話す」こと、そしてニューヨーク州民への激励と、勇気を与え続けてくれました。

その丁寧な説明、対応、実行力のおかげで、「わけのわからない恐ろしいチャイナウィルス」から「COVID19という新種のウィルスで、どうやら予防方法もあるらしい。そして的確に対応は進んでいる」という認識を毎日与えられることで、明らかに州民のコロナウィルスへのリテラシーを上げることに成功し、冷静な行動を促すことができたのだと思います。

この時、他州では共和党の州知事の州と、民主党の州知事の州とで対応が大きく分かれ、結果的に対応が遅れてしまった州では、教訓を活かせずに多くの犠牲者が出ることを食い止められませんでした。

ワクチン開発:

ロックダウンから間もなくワクチン開発のニュースは連日熱を帯び、ワクチントラッカーという今どの会社がどれだけ進んでいるのか、というデータを頻繁に確認していました。その都度「どのワクチンを、何度打てば、どれだけの有効率となるのか、打った場合の副作用」などの情報にも、毎日触れることで理解が深まっていきました。

そして1年が過ぎ、数種のワクチンも認可され、現在アメリカの成人の約2分の1がウィルス接種を完了しつつあります。

ニューヨークでのワクチン接種プラン:

ニューヨーク市では16歳以上の住民が接種できる権利を有し、コンベンションセンターや、一時期はヤンキースやメッツ球場も開放してワクチン接種会場としていました。ワクチンは住民は無料で受けられます。薬局などでも接種できます。

 

私はロックダウン後から、団体旅行はもちろん全てキャンセルとなってしまい、仕事も自宅からのリモートワークとなりました。(おかげでプログレスを満喫していますw)

日本のエージェント向けに、この機会にゆっくりと深くアメリカの観光都市について知っていただこうと1~2週間に1度の頻度でZOOMを使ったウェビナーを開催し続けています。

その際にニューノーマル事情として、アメリカでの入国事情や州間での移動、各施設の状況などを逐一報告しており、その中でも注目されていたのはワクチン事情です。 ワクチンを打つことで今後海外からの旅行客に対してどのような受け入れ態勢になるのか、という点でした。

海外からの旅行客受け入れについて:

ハワイなどは日本からの観光客に対して72時間以内のウィルスの陰性証明があれば自主隔離無し、などの対策を去年から打ち出していましたが、日本側に帰国した際の隔離がまだ続く中、なかなか期待したような成果はありませんでした。

現在アメリカ入国に関して、一部の国々に14日間以内に滞在した人は入国禁止となっています。

そんな中、ニューヨーク州はどの州よりも先駆けて、入国禁止国以外からの海外旅行者に関して、ワクチン接種完了者(ファイザーやモデルナなら2回、J&Jなら1回などの規定接種量)に関しては、接種完了後2週間を経れば、陰性証明も無しで入国が可能、州到着後3~5日後に念のためウィルス検査をすることを推奨する、という内容が発表されました。一時期世界中で最も感染率が高く最も死者を出したこのニューヨーク州が、いち早くこうした措置を打ち出したのは、大変象徴的な出来事です。

各地の下水も採取して通常の任意ウイルス検査だけでは把握しきれない、実際の感染率も調査しています。そうした様々なデータを基に、措置が取られています。

ワクチンパスポート:

またニューヨーク市内では、ワクチンパスポートとしてエクセルシオールパス言われるアプリが開発され、QRコードからその人のワクチン接種情報、陰性証明、名前、連絡先等々が含まれる内容が読み取れるようになりました。

これにより、様々な施設、レストラン、イベント会場スポーツ会場等でこのアプリが普及することが予想されます。デブラシオNY市長は、7月にはほぼ以前と同じような形で再開できるようにしたいと発言しました。 ブロードウェイミュージカルも9月頃から再開する見通しが出てきました。ワクチン接種が進むことで、コロナ以前にかなり近い形での再開も現実のものとなりつつあります。

自身がワクチンを接種するにあたって:

ワクチンの安全性についても自分が専門家ではないからこそ、医者の友人の話、医療関係者の方のウェブセミナー聴講、様々な記事などから自分なりに何度も何度も納得するまで聞いたり読んだ上で、やはり打ったほうが生き易いという理由、かかるかもしれないという不安から少しでも逃れたいという理由、そして自分の健康のためだけではなく、自分の周りの大事な人を守るためにも必要なことだと判断しました。副作用も承知の上で決めました。

そして、3週間前に1度目のファイザーワクチンを接種しました。

ワクチン接種時の痛みはほとんどありませんでした。打った箇所が翌日から2日間痛むことと、3日目に軽い頭痛を感じたぐらいの副作用でした。

ただし、ニュースや友人からの情報で「どうやら2回目の接種後は副作用がきついことが多いらしい」ということは聞いているので、今日はダイエット中にも関わらずしっかりと食事をとり、これから睡眠も長めにとって免疫力低下を防ごうと思っています。

最後に:

皆様の中には、ワクチンを打たない方針の方もいらっしゃると思います。今回私がこのコラムに書いたことは、あくまで私の個人的経験、感想、意見であり、誰かの意見や信念を批判するものでも、私の意見を押し付けるわけでもございませんので、どうぞご了承くださいませ。その上で、私は私自身はこの決断を信じ、覚悟もした上でまもなく2回目の接種を受けます。

このワクチン接種が、世界が動き出すための小さな始まりの一歩だと信じて。

一日も早く世界が自由に行き来できるようになり、いつか中田さんや、プログレスの皆さんとニューヨークで心置きなくお会いする日が来ることを心から祈り、楽しみにしております♪

ニューヨーク在住 若生円佳(まどりーな)


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