こんにちは、藤田伊与と申します。
初めて投稿します。どうかよろしくお願いいたします。
私はサンフランシスコに住んでいて、14歳と16歳の息子をホームスクーリングしてます。
14歳の息子が「映画を通して学ぶサイエンス」というタイトルからして面白そうなオンライン授業を取っています。
教材として取り上げられた映画は新しいのから古いのまで全部で14本あります。
例えば、オデッセイ、マトリックス、猿の惑星、ジュラシックパーク、スタートレック、禁断の惑星、2001年宇宙の旅、ソイレントグリーンなどなど。
その中で唯一、アメリカ映画でないものがありました。
それがゴジラ(1954年)です。
このゴジラ第1作目からアメリカの中学生が何を教わったか、興味があったので授業の録画を観ました。
せっかくなのでここで内容をシェアさせていただきたいと思います。
授業の中でまずアメリカ人の先生が生徒に二つの問いを投げかけます。
「この映画は、着ぐるみの怪獣が模型を破壊する単なる娯楽映画なのか?」
「ゴジラみたいな大型生物が存在しうるのか?」
最初の質問については最後に答えるということになり、まずはゴジラの体の分析から始まりました。
先生によると
ゴジラは巨大で火を噴くけど、これだとどれぐらいのカロリーが必要になるだろうか。
相当なカロリー数になる。
火を噴くところは置いておいて、先生の計算ではゴジラは生命維持だけでも人間を毎日2000人近く食料にしなくてはいけない。
そして巨大で破壊力のあるゴジラの骨格は構造上ものすごく強靭な体でなければならない。
それには物理的に相当無理がある。
ということでした。
それからもうちょっと深い内容になって、先生がなぜこの映画を選んだかという話になりました。
この映画は白黒で英語字幕を読まないといけないので、ハリウッド映画に慣れているアメリカの子供には観づらい映画です。
でもこの映画を選んだのには理由がありました。
先生は日本の視点に立って、日本で製作された映画を生徒に見て欲しかったからだそうです。
先生が語っていたのは、その時代の日本はどうだっか想像してほしいということでした。
戦後からまだそんなに時間が経ってない時代。
空襲や原爆で焼け野原にされたのがつい最近の出来事で、日本は世界のどこの国よりも核の恐ろしさ、科学の恐ろしさを理解してる国だった。
恐ろしい兵器であるオキシジェン・デストロイヤーを発明した芹沢博士は、実は日本そのものを象徴しており(芹沢博士は戦争で重傷を負って片目が見えませんが、日本も大きな傷を負っていた)、オキシジェン・デストロイヤーをいずれ人間が悪用し、人間を滅ぼすとういうことを痛いほど理解していた…。
そしてゴジラというモンスターは何を暗喩しているのか。
アメリカは大陸の国だが、国土が島である日本の状況を想像してみてほしい。
敵や脅威はどこから日本へやってくるか。
ゴジラが海からやってきたように、海からやってくる。
それには例えばどんなものがあるのか。
記憶に新しいところでは海から飛来して攻撃してきた米軍、それから津波や伝染病などである。
最初に先生が投げかけた「この映画は単なる娯楽映画であるか」という問いの答えは、Noでした。
単に怪獣が街を破壊するのを見て楽しむだけの映画ではなく、クリティカル・シンキング、アナリティカル・シンキングを使って深い意味を読み解いていく映画なんだよと教えてくれる授業でした。
これはホームスクーリングしてる子のための授業で、一般の学校ではカリキュラムに沿わないといけないのでこういうことは教わりません。
アメリカの子供には想像しにくかったことかもしれませんが、授業で教えてたようにいろんな視点を学ぶのは大切だなと思いました。