共に混沌を泳いでいる

執筆者 | 21/07/27 (火) | コラム

こんにちは。くわはらまりほです。大阪市在住のフォトグラファーです。

先日リリースされた電子書籍「混沌を泳ぐ (1) −PROGRESS STORY−」を書かせて頂きました。多くの方に読んで頂けて、Amazonのレビューも書いて頂ける書籍になって、良かったです。

現在は、PROGRESS発の新アパレルブランドCARL VON LINNÉの制作チームでお手伝いさせて頂いたり、毎週PROGRESSマガジンを更新したりしています。

「混沌を泳ぐ」を無事にゴールできて皆さんの元へ届けられたことも一安心していますし、CARL VON LINNÉのビジネスモデルと価格帯が中田さんにとっても村松さんにとっても納得いく所に着地できたことも、今とても嬉しく思っています。

高品質の商品の価格については様々な価値観があると思いますが、何より、それをみんなで意見を出し合う雰囲気こそが、PROGRESSだなと感じます。

CARL VON LINNÉのコンセプトを「未来のために、知性の上に着る。」としたのは、「CVLを着ることを通してみんなで考えたい」という思いからでした。

ファッションとは何なのか、サステナビリティとは何なのか、CVLが答えを出すブランドなのではなく、一緒に考えるためのブランドで在れば良いと思っています。

なので、「本当の適正価格とは」「持続可能なビジネスとは」と、それぞれの視点で、CVLと中田さんの話を通してそれぞれの業界や職種や立場から考えるムーブ自体が、まさに「未来のために、知性の上に」だと感じました。

こうして、PROGRESSのプロジェクトを一人一人が自分事として捉えられることに、とても大きな意味を感じています。

「混沌を泳ぐ」も、どこから自分が知っている出来事なのか、何話から自分が参加した歴史なのか、皆さんそれぞれに物語があると思います。

まだ続いていく物語なので、2巻の内容をより深く面白くしていけるのは私たち一人一人のPROGRESSとの向き合い方なのだと、そう思うと、自分からできることを見つけて盛り上げたり、誰かを応援したり、全てのプロジェクトを更に楽しめるようになります。

どのプロジェクトでも、「自分にできることは無いから…」「情報が多くてついていけないから」と諦めずに、自分なりのペースや距離感で良いので楽しみ方を見つけて貰えれば、楽しんでいる気持ちのその一つ一つがPROGRESSを盛り上げていくのだと思います。

以上が、私がここ数日で感じたことでした。

以下に、PROGRESSストーリーの制作工程を書いてみました。
読む人を選ぶというか、メンタルマッチョさが溢れ出ていて、晒すのに少し勇気がいるので、PUBLIC会員限定にしておきます。余程、興味がある方だけどうぞ。

PROGRESSストーリーのレシピ

執筆の注意点

・オンラインサロンについて全く知らない人でも、PROGRESSのことをイメージできるようにすること。
・ゴリゴリメンタルマッチョなビジネス書ではなく、苦悩や苦労が伝えるような、共感を得られる“物語”であること。
・三人称であること。但し中田さんの視点であること。メンバー視点やファン視点の自分のフィルタを外し、その上で中田さんの思考や感情なのか、状況説明なのか、読者を混乱させないように気をつけること。
・6万文字以内であること。(“芥川賞くらいの”って言われてもプレッシャーに感じずにボリューム感だけ基準にすること。)
・とにかくスピーディーに書くこと。(当初、6月頭から書き始めて8月出版を目指す想定でした。)

執筆の順序

⑴ 企画書を主軸に、全体の構成を練っていきます。
必要な材料を集めるべく、「見ておいたほうが良い過去の配信アーカイブを募集します」と、ツイートをします。そして皆さんからリプでリンクを貼って頂いた、様々な過去の配信を見ます。物語の細部にあたる内容が多いですが、きっこさんのエクストリーム年表と、太田淳平さんの朝の会振り返り配信などは物語の大枠にあたるので、それと企画書を見ながら、大枠の構成をざっくり作ります。その中でも特にポイントになりそうなタイミングの時期のHRを、ちゆさんのリンク集からアーカイブリンクを探して、視聴します。トークチャンネルやオリラジチャンネルも改めてポイントになる回をチェックします。6万文字で分割して、どの辺りの話をどれくらいの分量書くかも想定しておきます。

⑵ 中田さんの著書、特に「芸人前夜」と「幸福論」を改めて読み返します。
芸人前夜はご本人の執筆で、ビジネス書ではなく小説なので、文体の雰囲気を何となく掴むことを意識します。幸福論は直近の著書なので、サロンの外の人から見える最近の中田さんの思考のイメージを意識します。

⑶ 中田さんにお話を聞いて、実際の文章を作っていきます。
時系列に沿って、出来事をベースに、中田さん自身の心境や、HRのアーカイブを見ても読み解けなかった意図などを聞きます。ざっと箇条書きでメモして、文章に起こしていきます。その際、一人称から三人称に変換して、読み物としての表現を意識して作ります。肉付けするところは更にディテールにあたる配信アーカイブを探して確認して、省略や要約するところは文章には起こさずにメモだけ残しておきます。

⑷ 立ち止まって、ボリューム感や視点を確認します。
自分が入会してからの時期は、自分の記憶のフィルタが掛かっているので、一旦リセットするために、構成を考えずになるべくフラットな目線で改めて当時のHRアーカイブやHR議事録を見直します。特にポイントになる箇所をメモして大枠を作ります。

⑸ 後半から構成の仕方を変えます。
コロナ禍からは、サロン内の変化が激しくコンテンツも人数も爆増するので、「何を書くか」より「どこを削ってどうまとめるか」を意識します。時系列に沿って出来事を細かく全部書こうとすると、文字数が余裕で10万文字越えますので、後半から構成の仕方を変えます。時系列が多少前後してでも、カテゴリ毎に話を分けることで、読みやすさを優先させます。但し、こうすると物語上、整合性に気をつけないと、PROGRESSを全く知らない人が読む時に矛盾や不自然さを感じさせてしまうので注意が必要です。

⑹ タイトルが決定したので合わせます。
タイトルが決まったので、そのタイトルで納得感があるように、本筋の内容は変えず表現を工夫していきます。ただ、タイトルがピッタリ過ぎたので、ほぼ不要な手順でした。図らずしも、「水を得た魚になりたい」と始まる「芸人前夜」と、“泳ぐ”関連性があるタイトルになったので、最終話はその関連性を生かして伏線回収のような工夫を入れます。遊び心です。

⑺ 選外タイトル案から各話のタイトルを選びます。
本編はほぼ書けました。この時点で7月初旬なので、表紙デザインコンペの期間もあり、まだ時間に余裕があります。タイトル案から、各章・各話のタイトルを付けることを思いついたので、提案する前に実際にやってみます。全てのタイトル案に目を通し、気になったものを抽出し、その中から更に絞っていきます。なるべく多くの案を採用するため、各話の長さをコンパクトに分割していきながら、使えそうな案を選出して当てはめます。

⑻ 全体を整えます。
各話、「この人が考えてくれたタイトル案に相応しい文章かどうか」という視点や思い入れが生まれるので、責任感が増します。各話をタイトルに合わせて比喩や構成など表現を工夫していきます。並行して、各話の文字のボリュームや文章の読みやすさなどバランスを整えていきます。

⑼ 誤字脱字のチェックなど校閲をします。
誤字脱字は絶対にあります。コメントやツイートの短文ですら日常的にミスがあるのが人間なので、自分の正確性を信じてはいけません。全文印刷して紙面上で確認したり、スマホの読み上げ機能で音声から確認したり、何日か寝かせてから改めて読むなど、各話それぞれ何回でも読み返します。並行して、中田さんの修正提案などを随時確認して、修正していきます。

⑽ 最終チェックをします。
共有しているテキストデータから電子書籍のフォーマットになったものが、玉城さんから送られて来ますので、最終チェックします。
修正箇所を見つけたらお伝えして、元のデータを修正します。改めて最終校閲をして問題無ければお伝えして、Amazonの申請に入って頂けます。それでもミスはあり、発見され次第、玉城さんに修正依頼をお伝えします。

以上が、「混沌を泳ぐ (1) −PROGRESS STORY−」の作り方でした。

ここまで読んだあなたはとてもニッチでマッチョな人です。おめでとうございます。そしてありがとうございました。

執筆者 | 21/07/27 (火) | コラム


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