オンラインXENO マネタイズ案

執筆者 | 21/08/09 (月) | コラム

はじめに

皆さんこんにちは、はじめまして。山下大輔と申します。

現在、本業として、某社で、海外向けのソーシャルゲームのローカライズゲームディレクターをしています。

どんな仕事かは自己紹介をご覧いただくとわかりやすいかと思います。

自己紹介動画

あまり聞き馴染みのない仕事だと思いますが簡単に言うと、日本国内で作られたゲームのテキストを翻訳したり、ゲーム内容を改造して海外のユーザーも遊びやすくして、リリースし運営を行ったりしています。

今回、XENOのマネタイズ案が緩募されていたので、ちょっと考えてみました。

※8/8追記。HRで、あっちゃんからマネタイズの方向性についての話があったので、内容を手直ししました。

マネタイズの必要性 ―ユーザー数増加とサーバー負荷―

そもそもの発端である、マネタイズが必要となった背景を整理しましょう。オンラインXENOを一般公開(PGの外の人も遊べるようにする)すると、サーバー費用が増加するということが一番大きな原因となります。サービスを公開するにあたり、サーバーの維持費にコストがかかるのは、ウェブサービスの宿命です。ゲームももちろん同様です。

これは、利用者数(後述のDAUやMAU)が増えれば増えるほど重くなりますし、使用されているプログラムによって必要なサーバーのスペックは変わります。より多くのユーザーが快適に遊べるようにサーバーを用意する必要があり、サーバーによる読み込みスピードなどの快適性が、ユーザーの定着にも大きく影響します。

ターゲット/戦略

さて、今回のオンラインXENOのオープン化の目的は何でしょう。

求めるのは、収益?それともXENOの普及?どちらでしょうか。

それによっても取るべき戦略は変わってきますので、まずはここを明確にするのが良いと思います。また展開する国をどこにするかで、必要なローカライズ開発の内容も変わります。グローバルを狙うのであれば、最大多数に一気に提供し、より多いユーザー数を獲得するのも、まずはスモールスタートで、負荷を軽くして徐々に利用可能エリアを広げるのも手です。(地域ごとのローカライズ/カルチャライズが必要になります。)

KPI

 ゲーム運営を行う上で、最低限知っておく必要がある指標は、下記です。

オンラインゲームでは、リリースしてから、これらの数値を見ながら素早くPDCAを回せるかがサービス成功の鍵となります。

DAU(=Daily Active User)・MAU(Monthly Active User)

1日または1ヶ月で何人のユーザーが遊んでいるかの指標です

Charge Rate(何割のユーザーが課金したか)

アクティブユーザーに対して課金を行ったユーザーの割合を示す数値です。ソーシャルゲームでは、10%を超えることはあまりありません。5%前後ほどが一般的です。

ARPPU(=Average Revenue Per User)

課金者の平均課金額です。この数値と課金率のバランスで、課金の施策が健全に受け入れられているかを見ることができます。例えば課金率が極端に低く、ARPPUが高額になっている場合、ごく少数の重課金者飲みによって売上が支えられている=大半が無課金で遊んでおり、少数の重課金者がゲームを辞めた場合、運用が立ち行かなくなる危険性が高くなります。

Continues Rate

継続率ユーザーの何割が何日間継続してプレイを続けるかの数値です。

新規ユーザがどのぐらい定着しているか、逆にどの程度でやめてしまっているかで、ユーザビリティや継続を促す施策の効果を図ります。

マネタイズ案:広告導入の場合。

ゲームルールはそのままで、プレイ環境や演出をアップグレードしたりデータの保存を可能とする。プレイ回数等は無課金でも制限なしだが、課金した方が、遥かに快適で楽しめる。

※今回は広告の表示(動画再生)や、UI上のバナー広告を課金で削除する方向性で検討します。

オンライン対戦のスタッズ・リーグ制。

プレーヤー通しのマッチングの基準にもなるため、導入は必須。

イロレーティング計算式(国際チェス連盟/FIFA方式)の導入が良いと考えます。

シーズンパス

また、一定期間(1ヶ月程度)が有効期限のシーズンチケットでイベント参加権をサブスク化、サブスクを継続しないと戦績がリセットされるなどで、課金率の向上を見込める。(継続率とサンクコスト)ゲーム内通貨との併用が効果的。

その他追加したほうがいいもの

チュートリアル

 遊び方の説明を、ゲーム開始直後にユーザーに提供します。ここで、ユーザーを掴めるかが継続率や、MAUに大きく影響します。

ストーリーモード

対人戦(PvP)より、一人で遊びたいユーザーも囲いこむことと、世界観をユーザーに伝える手段です。ゲーム開始直後、PvP以外でもユーザーが楽しめるコンテンツを提供することで弱いユーザーでも離脱することなく、ゲームを続けてくれるようになります。

演出/BGM

勝敗が決まりそうなときや、メインシナリオの各シーンで特殊演出ムービーを表示したり、BGMを変えて、雰囲気を作ります。

バッジ(アチーブメント)

単純にプレイするだけでなく、連勝や、特定の札で勝つなど一定条件をクリアすることで、称号を与えることで、やりこみ要素を付加します。

その他懸念

上記以外に、今回の回収でケアが必要となるであろう事をざっくりとあげます。

カスタマーサポートの負荷(多言語対応/時差)

英語のみならず、フランス語やスペイン語中国語など、様々な言語に対応する必要が出てきます。これは、対応言語を限定することで非対応言語の対応をしないというポリシーを主張することも出来ます。また、国毎に時差があるためイベントの開始時間にラグが発生したり、24常にどこかでユーザーがプレイしているので、CS対応のピークタイムが途切れません。

サーバー費用と設置国

地域ごとにサーバーを分散させる必要も出てくるかもしれません。それに加えて、各サービス提供国語との法令対応(例:EU GDPR=EUのユーザーのメルアドやプレイ情報といった個人情報を取得する場合は、この法律を遵守したガイドラインを制定する必要があるなど。)また、課金が実行される各国の納税と決済方法、ゲーム内通貨(特商法/資金決済法)などもケアが必要です。

おわりに

今回の提案は、かなりざっくりとしたものなので、ここからエンジニアさんに渡す詳細仕様を策定する必要がありますし、目標リリースタイミングなどのスケジュールを考慮していないものとなります。

ただ、私の経験から、今回の提案内容をオンラインXENOに搭載することで、グローバル展開を視野に入れたコンテンツとして成立させること十分可能だと思います。

微力ながら、貢献できると幸いです。

執筆者 | 21/08/09 (月) | コラム


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