結局、ちゃんぽんは酔うのか?【元バイオ研究者による酒雑学】

執筆者 | 21/09/28 (火) | コラム

みなさん、こんにちわ。

2021年1月入会の鈴木リカです。

私は元細胞生物学の研究者で、現在はお酒のお仕事をしています。

「コラムを酒びたしにしないで!」という声も聞こえてきそうですが

昨日に引き続き、今日もお酒に関する記事を書いていきたいなと思います。

 

■ちゃんぽんとは

ところで皆さんは、ちゃんぽんという言葉を聞いたことがありますか?
 
お酒においてちゃんぽんとは、様々なお酒を同日に飲むことです。
 
これは酔いやすい飲み方だという人がおり、私も実際「ちゃんぽんはだめだよ」と言われてきました。
 
ですがビールで乾杯、お食事とともに日本酒を頂いて、2軒目にはバーでウイスキーを。なんて最高ですよね…(?)
 
ちゃんぽんは本当にだめなのでしょうか?
 
生化学的な視点も交えながら、考察します。
 
 

■ちゃんぽんだから酔いやすいことはない

結論から言うと、ちゃぽんだから酔いやすくなる身体的なメカニズムはありません
 
そもそも酔うとは、お酒に含まれるエタノール本体(や、それを分解する途中で生成されるアセトアルデヒド)が神経系に麻酔効果を与えることで起こります(交感神経系は活性化したりするのですが、脳神経系はどちらかというと抑制されます)。
 
どんなお酒でも、含まれているのは同じエタノールです(厳密には他のアルコール類も微量含まれることもありますが)。つまり体内から見れば、どんなお酒を飲んでも結局代謝しなければならない物質はエタノールで同じ(=足し算でしかなく)、混ざることによる相乗的な効果(=掛け算的なこと)はありません
 
 

■でも酔う気がする!

ただし、ちゃんぽん=酔いやすい説を一概に間違いとも言えないこともあります。
 

トータルで飲む量が多くなりがち

お店で複数のお酒を飲む場合、それぞれを1杯、2杯という単位で飲んでいくことになり、トータルでの飲酒量が多くなる傾向はあります
 
あとちょっと欲しいけど1杯は多い…でも頼んじゃおう。
 
そしてちょっと進まなくなってきたけどせっかくだから飲み切ろう。
 
そういったご経験がある方もいるのでは。
 

どんどん強いお酒を飲んでいきがち

また、ちゃんぽんする時は度数の高いお酒になっていきがちです。
 
例えばビール→日本酒へ変えると、アルコール度数が3〜5倍になります。飲むスピードを半分にしたとしても、体からすればエタノールがやってくるスピードは加速しているのです!
 

飲んでる時間が長くなりがち

そもそもちゃんぽんする人はお酒に強い傾向があり、その分多く飲み、多く食べ、長時間飲酒することになります。
 
体がエタノールを代謝(=分解という化学反応)をするためにはエネルギー、水、ビタミン類などを必要とします。
 
また、食事の分解でもかなりのエネルギーを要するにもかかわらず、毒であるエタノールがある場合はそれを優先して分解してくれるのです。
 
さらには、睡眠中には代謝全般が抑えられ、アルコールの代謝も遅くなります
 
このように多く食べて飲むとその分体のタスクは増え、
仮にそのまま寝てしまうような場合には、よりその処理が遅くなってしまうのです。
 
いい気分になったままベットイン…
これは気持ちがよいことですが、お腹もこなれて酔いも落ち着いてから寝ることが理想的です。
 

■おわりに

いかがでしたでしょうか?

同様な内容のコラムはたくさん流通しており、正直内容としての新規性はないですが、「あのお酒の人が書いたのねー!」と気軽に読んでいただければ幸いです。

質問や書いてほしいテーマがあればいつでもどうぞ!

また、Instagramではお酒や料理とのペアリングについて発信しています。知ってる銘柄を増やせること間違いなしなので、ぜひフォロー下さい(笑)

最後までお読みいただきありがとうございました。

ではまた!

 

執筆者 | 21/09/28 (火) | コラム


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