受験屋の働き方について(2)

執筆者 | 21/09/30 (木) | コラム

(前回の続きです。)

子どもは基本的に、机に座って授業を聞くことをそこまで苦手としていません。6歳のころから席について先生の話を聞くことが訓練されているからです。まれに崩壊している学級の話は聞きますが、塾まで来て勉強しようとしている子には崩壊の原因になってしまう子はほとんどいないといってもいいでしょう。

 

一方、彼らは自宅での反復練習は苦手です。自宅は、テレビ、漫画、ゲーム、タブレットやスマホとベッドと誘惑の宝庫です。そんな中で勉強を選択できなければ自己責任。。。これはかなり厳しい。

保護者様にしてもそう。仕事で疲れて帰宅して、ソファーに寝転がっている子供に、勉強しろなんて言いたくない。。。すごくわかります。言うのも言われるのも嫌でしょう。言ったところで、親子の仲が険悪になって終わりです。

こういう状況が分かっていて、「勉強しないのは自己責任」と言ってしまうのが、私には出きませんでした。子供の勉強に携わる者として、最も大きな弱点である家庭での反復練習をサポートしなければならないと思うのです。

 

なんとか授業の復習をしてもらいたい。でも私が教室でいくら説教したところで、半数の子は帰宅した瞬間、私の言葉など忘れてしまいます(笑)ではどうするか。

私が出した結論は、もっとも単純で原始的な方法でした。

毎日塾生全員に教室を開放すればよいのです。テスト前なら、日曜日だって教室を開ければいい。でも自習室ではいけません。私の目が届くところでやってもらわなければ。人の目がないと、彼らは簡単にサボります。彼らに最も必要なのは、流ちょうな解説ではなく、見張り・監視。きれいな言葉で言えば「見守り」でしょうかね(笑)

自宅では勉強しない子も、殺風景な教室に座らせて「このテキストの〇ページをやりな」と指示すれば、結構勉強するものです。一見やる気のない子でも、勉強の場所を提供すればきちんとできる。当然、授業をしながらほかの学年の子の学習の進捗状況も確認し、さらには質問にも答える。唯一の休日である日曜を潰してテスト前の勉強に付き合う。労働負担は増す一方です。

 

こうして私の不休の勤務形態が完成していきました。子供たちを観察できる時間は増えますし、実際成績もよく伸びる。「勉強しろと言わずに済むようになった」と保護者様にも喜んでいただいて、いいこと尽くめだと思っておりました。

執筆者 | 21/09/30 (木) | コラム


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