「音をたてたら殺されるーーー」

2022年7月 神田明神ホール 舞台袖と云うには狭すぎる空間

僕はその暗がりの中で、虎の目をした男を前に、ひたすらに気配を消していた

 

数秒前、独演会のOPで和太鼓を叩くという、千載一遇の打席に立ち

メンバーの歓声を浴びて脳が焼けそうになっていた僕は

リハーサルではいなかった男が すぐそこにいることに戦慄していたのだ

さっきまでの興奮はとうに冷めていた

 

これが火の玉か・・・・

 

 

 

 

2005年、僕はその男を妬んでいた

 

「こんな一発屋みたいな芸人は性格が悪いに決まっている」

と、思う僕の方が100万倍性格がひねくれていて、

何も成し遂げていない自分に苦しんでいた

その苦しみは歳を重ねるごとに薄らぎ、誤魔化すことも上手くなるけれど

完全には無くならない

 

 

「何者かになりたい・・」

 

 

ずっと心の奥で引っかかっていた

結局何かをなすのに近道はない、まずは学びだ

 

コロナで勤め先の休業が多くなり

「時間がない」という免罪符は無効になった

 

 

YouTube大学の門は常に開き、そこで火の玉の男が叫んでいた

あっという間に引き込まれ、もう妬むどころか感謝すらしていた

progressに入って学ぶのに迷いはなかった

 

だが予想は、良い意味で裏切られる

ただ学ぶつもりで入ったはずが、気づけばメンバーとの交流の虜に

 

離島に移住して10余年、固定化した人間関係に飽き始めていた僕は

すぐに話が通じる遠くの学友達と、毎日コメントを交わしていた

メンバー達の存在だけで、心強いと感じていた

 

「自分もやれるかもしれない」

 

根拠は無いけれど

沢山のメンバーの苦労や悩み、宣言や報告のシャワーを浴びているうちに

自然と、夢だったゲストハウス開業へ踏み出すこととなる

 

事業計画、ロゴデザイン、リフォーム、SNS集客…

あらゆる面でメンバーのサポートを受けて

 

僕は今、自分のゲストハウスでこのコラムを書いている

 

ありがとうprogress


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