セーラームーンが如何にして時代を変えたか

執筆者 | 21/04/16 (金) | コラム

HUNTER×HUNTERの授業収録を前に、冨樫先生の奥様、武内直子先生も凄いよ!セーラムーンが如何に凄いか!という話をさせて頂きます。

エヴァやジャンプ黄金期のように、当時、社会現象を巻き起こしたけれど、YouTube大学で取り上げられることは恐らく無い(笑)、不屈の名作「美少女戦士セーラームーン」。

私は、ただのヒット作品ではなく明らかな歴史の分岐点と捉えています。女性の多様性を分かりやすく是として描いた、初めての少女漫画だからです。

セーラームーンは戦士であり、プリンセス(プリンセス・セレニティ)であり、女子高生(月野うさぎ)でもあります。

つまり言い方を変えると、社会の中で仕事や自己実現のため戦う自分と、一人の女性として認められる自分と、社会や家庭の中での役割としての自分、それら全てを肯定している、とも言えます。

何かを諦めて一つしか選べない生き方を否定し、全部それぞれが魅力的で両立させても良いし、好きなものを選んでも良い、という提案です。

この作品より以前、女性が変身したり戦う作品はあっても、ここまで主人公だけで全部盛りのテーマ性は有りませんでした。

ディズニーでさえ、だいぶ遅れて白雪姫やシンデレラのような「待つ」お姫様から、アナ雪やラプンツェルのように「自ら動く」お姫様へ、ロールモデルを変えました。

護られる存在ではなく自ら戦う美少女戦士に憧れて熱狂した女子たちが、社会でバリバリ前に出て働く女性たちになったと、私はそんなふうに考えています。
私たちの世代は「何者にでもなれる」ことを潜在意識に刷り込まれていたわけです。

それに加えて、“主人公一人だけが魅力的な女性”ではなく、色んな髪型・髪色・性格・特性がある“セーラー戦士たち全員”が魅力的なキャラクターとして描かれています。あの時代にジェンダーレスなキャラも魅力的に描かれていることも注目すべき点です。

あの作品以降、おジャ魔女やプリキュア、アニメ以外でもアイドル戦国時代に入り、個性を伸ばす教育について考えられたり、今でこそ色んなタイプの子を是とされましたが、この土台にもセーラームーンがあります。

要するにセーラー戦士達それぞれの個性、それぞれの魅力や役割が描かれたことで、どういう戦士(女性)を目指しても良いし、どういうタイプもそれぞれに美しい、と示してくれていたわけです。

もちろん、幼い頃の私が、こういう視点で見ていたわけでは有りません。

二十歳くらいの頃、広告デザインの勉強をしていて資生堂のシャンプー「TSUBAKI」のCMについて背景やコンセプトを知ったことがキッカケでした。

明治時代からの歴史を持つ資生堂は、髪につける椿油が最初の商品です。
つまり、「TSUBAKI」という商品を出すのは資生堂の名を冠した商品を出すようなもの。
商品名から既に力の入れようが伺えるそのCMは、当時の男性アイドルの頂点SMAPが「日本の女性は美しい」と歌い複数名の女性を様々なロケーションで撮影したCMでした。
他の商品と一線を画し、一人ではなく様々なタイプに、「みんな美しい」というメッセージが込められている――。その話を知った時、衝撃を受け、強く思いました。
「この時代の土台にセーラームーンがいた」と。

広告デザインの勉強をしていて、漫画のテーマ性や時代の変革にも繋がったので、どんな学びがどのように繋がるか分かりません。

学ぶって、楽しい。

様々なジャンルを学べる意味でも、今後もYouTube大学が楽しみです。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

執筆者 | 21/04/16 (金) | コラム


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