【小説】無音が描く幽玄美 「第四話 二人で一人の芸術家」

【小説】無音が描く幽玄美 「第四話 二人で一人の芸術家」

『無音が描く幽玄美』(前回までのあらすじ) 芸大に通う主人公「僕」は、音大に通う女子大生、高家結美とストリートピアノを介して知り合う。 駅構内に置かれたストリートピアノを弾く彼女の姿をスケッチしていたところ、本人に捕まったのだ。 嵐のようなペースに戸惑いながらも「僕」は彼女との繋がりを得た。 彼女を意識する余り、上手く絵が描けなくなった「僕」に、結美は「自分を知って欲しい」と持ち掛ける。 言葉の真意を掴みきれない「僕」は曖昧な答えを返すものの、結美の怒りに触れる。 ごまかすことをやめた「僕」は、自らの気持ちを打ち明ける。 幸せな時間も...
【小説】無音が描く幽玄美 「第三話 消えゆく音」

【小説】無音が描く幽玄美 「第三話 消えゆく音」

『無音が描く幽玄美』(前回までのあらすじ) 芸大に通う主人公「僕」は、音大に通う女子大生、高家結美とストリートピアノを介して知り合う。 駅構内に置かれたストリートピアノを弾く彼女の姿をスケッチしていたところ、本人に捕まったのだ。 嵐のようなペースに戸惑いながらも「僕」は彼女との繋がりを得た。 彼女を意識する余り、上手く絵が描けなくなった「僕」に、結美は「自分を知って欲しい」と持ち掛ける。 言葉の真意を掴みきれない「僕」は曖昧な答えを返すものの、結美の怒りに触れる。 ごまかすことをやめた「僕」は、自らの気持ちを打ち明ける。(第一話 二人...
【小説】無音が描く幽玄美 「第二話 縮まる距離」

【小説】無音が描く幽玄美 「第二話 縮まる距離」

『無音が描く幽玄美』(前回のあらすじ) 芸大に通う主人公「僕」は、音大に通う女子大生、高家結美とストリートピアノを介して知り合う。 駅構内に置かれたストリートピアノを弾く彼女の姿をスケッチしていたところ、本人に捕まったのだ。 嵐のようなペースに戸惑いながらも「僕」は彼女との繋がりを得た。   出会いが慌ただしければ、その後の展開も慌ただしかった。 高家さんは何気ないことでも自分が何か思ったり感じたりしたら僕にメッセージや写真を送ってくる。 僕が返事をするとまたメッセージが来て、何度かやり取りするうちに文字を打つのが面倒になった高家さん...
【小説】無音が描く幽玄美 「第一話 二人の出会い」

【小説】無音が描く幽玄美 「第一話 二人の出会い」

 コラムにて小説を連載するという試みをやってみたいと思います。 色々考えましたが、最初の作品は、私がこれまで書いた短編の中で最も自信のある作品を選びました。 『無音が描く幽玄美』 2018年正月の三が日に書き上げた物語です。 芸大に通う主人公「僕」と、音大に通うヒロインが出会う第一話をお送りします。   スケッチブックにふと影がさした。 顔を上げると、目の前には今まさにスケッチしていた女性が立っていた。 顔にかかる長い黒髪を耳にかけながら、彼女は優しい眼差しで僕に言う。「絵、見せてもらえる?」 僕は驚きと、いたずらを見つかった子供のよ...