PROGRESSと私

PROGRESSと私

私は“無痛分娩が大好き”というわけではない。産婦人科と麻酔科の両方のキャリアを歩んだがために、たまたま無痛分娩が得意になっただけの医師である。2017年に無痛分娩の事故報道が相次ぎ、無痛分娩の安全性を向上させることが社会課題となった。ビジネススクールに通っていた私は、気づいたら起業していた。「ビジネスというツールを使って社会課題を解決する」というMBA流の価値観にかぶれていたのだろう。さらに困ったことに、これは自分にしかできないと根拠もなく信じていた。大学教授や業界の権威でもないただの医者。しかも、無痛分娩コンサルタントなどという仕事...