ひび割れた壷(つぼ)

執筆者 | 21/09/21 (火) | コラム

 
 
そのまんま でいいんだ
あるがまま でいいんだ
 
そんな風に思えるとっても素敵なお話
 
 
【作者不明の物語】菅原裕子さん訳
 
 
インドのある水くみ人足は、
2つの壷(つぼ)を持っていました。
 
天秤棒(てんびんぼう)のはしに
それぞれの壷(つぼ)をさげ
 
首のうしろで天秤棒を左右にかけ
彼は水を運びます。
 
その壷の一つには、ひびが入っています。
 
もう一つの完璧な壷が小川からご主人さまの家まで
一滴の水もこぼさないのに
 
ひび割れ壷は人足が水をいっぱい
入れてくれてもご主人さまの家に
着くころには半分になっているのです。
 
完璧な壷は、いつも自分を
誇りに思っていました。
 
なぜなら、彼が作られたその本来の目的を、
常に達成することができたからです。
 
そして、ひび割れ壷は、いつも自分を恥じていました。
なぜなら、彼は、半分しか達成することが
できなかったからです。
 
二年が過ぎ、すっかり、みじめになっていた
ひび割れ壷は、ある日、川のほとりで
水くみ人足に話しかけました。
 
「私は自分が恥ずかしい。そして、
あなたにすまないと思っている。」
 
それを聞いて、水くみ人足は言いました。
「なぜそんな風に思うの?」
「なにを恥じてるの?」
 
壺は言いました。
「この2年間、私はこのひびのせいで、
あなたのご主人さま の家まで水を半分しか運べなかった。
水がもれてしまうから、あなたがどんなに努力をしても、
その努力が報われることがない。私は、それがつらいんだ。」
 
 
水くみ人足は、ひび割れ壷を気の毒に思い、言いました。
 
「これから、ご主人さまの家に帰る途中、
道端に咲いているきれいな花を見てごらん。」
 
天秤棒にぶら下げられて丘を登っていくとき、
ひび割れ壷はお日さまに照らされ
美しく咲き誇る道端の花に気づきました。
 
花は本当に美しく、壷はちょっと元気になった
気がしましたが、ご主人さまの家に着くころには、
 
また水を半分漏らしてしまった自分を 恥じて、
水くみ人足にあやまりました。
 
すると、彼は言ったのです。
 
「道端の花に気づいたかい?
花が君の側にしか
咲いていないのに気づいたかい?
 
僕は、君からこぼれ落ちる
水に気づいて、君が通る側に
花の種をまいたんだ。
 
そして君は毎日、
僕たちが小川から帰るときに
水をまいてくれた。
 
この2年間、僕はご主人さまの食卓に
花を欠かしたことがない。
 
君があるがままの君じゃなかったら、
ご主人さまはこの美しさで
家を飾ることはできなかったんだよ。」
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
実は、自分が欠点だと思っているところが、
人から 見たらステキなところなのかもしれません。
 
そんなところが、人を幸せにしています。
 
自分が知らないうちに、人はそんなところに
気づいていたりします。
 
そういう風に、自分にも人にも
接してあげられたらいいですね。
 
_________________
 
もちろん、成長や進歩を止めろ
ということじゃないですよね・・・
 
個性を伸ばすというコト、
様々な価値の存在に気付く目を持てるように
 
成長しましょうという願いが込められていると思います。
 
僕は、この話を伝えてくださった
人との出会いに、感謝しています。
 
 
                

執筆者 | 21/09/21 (火) | コラム


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