オンラインで、顔を隠すことと顔を出すこと

執筆者 | 21/03/19 (金) | コラム

中田さんの顔出し引退発表を受けて、PROGRESSメンバーのプロフィール写真を恐らく最も多く撮影させて頂いてる立場から、“オンラインで顔を隠すことと顔を出すこと”について、どう考えているかをお話させて頂きます。

改めまして、こんにちは。
2020年5月に入会した、桑原麻利萌です。
大阪在住のフォトグラファーです。
誰もが綺麗な画質で写真を撮れる時代に、写真を撮ることでお金を得ている立場です。
有難い事に、関西のメンバーを中心に、今もコンスタントに撮影依頼を頂けていて、個人的には顔出し推奨派ではあります。
関西に限らずZoomでの撮影ディレクションや自撮りのアドバイスなどもさせて頂いています。

かつて「アイコンめっちゃ大事」という、自分の発言が中田さんにピックアップされ、皆のアイコンが素敵になる改変期がありました。

ここに来て、私が言う「アイコンめっちゃ大事」という意見は、単に「綺麗な写真を使えば良い・仲良くなりたいなら顔を出せば良い」という短絡的な意味合いでは無いことをお話しておきたいと思いました。

顔を隠していても本人の人柄にあったプロの似顔絵のアイコンと、顔を出していても画面も表情も暗い印象のアイコンと、どちらの方が親しみが持たれやすいでしょうか。
つまり、そういうことです。

「アイコンめっちゃ大事」というのは、顔出しであれ顔隠すのであれ、写真であれイラストであれ、「自分をどうブランデングするか」という話です。

「自分は普段は笑顔が苦手だけど、友達を増やしたいから明るさや爽やかさを出したい」
「自分は人前に立つ仕事で説得力も求められているから、頼り甲斐がありそうな写真にしたい」
「自分は優しい人になりたいし優しい人と仲良くなりたいから、優しそうな絵柄のイラストにしよう」

この様に、“他者から自分がどう見られたいか”、そしてそれは“なぜか”、という基準で決めていくのが良いです。
アイコンは、オンライン上でのあなたの家の“玄関”、あなたのお店の“看板”、そしてあなた自身の名刺であり、あなたが“常に着ている服”でもあるからです。

また、よく“盛る”という表現がありますが、それも本質的ではありません。
肌を綺麗にするにしろ目を大きくするにしろ“盛る”というのはコンプレックスに寄った表現です。
“本人が気にしているところを隠す”ニュアンスが強いわけです。
でも“本人の魅力を引き出す”事にフォーカスした写真であれば、同じように加工を施していたとしても、“盛れている”のではなく“良さが出ている”となります。

“本人の良さが出ている”写真は、信用に繋がります。
盛っているのではなく等身大で、「この人と仲良くなりたい」「この人に仕事を依頼したい」と思って貰えやすくなります。
顔と名前が一致するので、暫く会っていない相手や顔を覚えるのが苦手な人にも思い出して貰えやすかったり、他者目線において高い効果を発揮します。

一方で、オンラインで顔を出すという事は、知らない人に自分の顔を見られる可能性が上がり、知らない間に自分の写真が使われるリスクもあります。

つまり、「他者の立場になって自分を見て、他者から怖がられないようにする」か、「自分の立ち位置で世界を見て、自分自身が危なくないようにする」か、いずれに比重を置いているか、ということです。
いずれにしても「顔を隠しているから自分本位だ」などという両極端なことではなく、また、「なんとなく顔隠す」「取り敢えず顔出す」でもなく自分の中の確かな動機に目を向けた上での選択であるのが大事です。

例えば中田さんのように影響力を持った立場で、家族という守らないといけない存在もあり、吉本を退社して選択肢が増えた今、顔を出して自分という人間を発信する必要性とそれに伴って背負うリスクや、守らないといけないものにフォーカスしますと、ご本人が仰っている通り寧ろ顔を出しておく必要性は無くなって来たわけですね。

同時に、顔を隠すということは、顔を出している人以上に、他者に寄り添うことが求められます。
顔が見えないと人間性が遠く感じられるからです。

その上で、こだわりが強い中田さんがフェイスシールドという自分の顔になる重要なデザインを自身で作らずに皆から募ったのは何故でしょうか。自分が作ったり外注するほうが早いのに、自身の選択一つ一つにエンタメ性やストーリー性を持たせていったり、メンバーに寄り添うことを決めているからだと思います。

さて、PROGRESS内には顔を隠していても皆から慕われているメンバーがたくさん居ます。漏れ無く、他者目線で相手に寄り添うことが出来ていて、それをちゃんと積み上げて来た方々だからですね。
逆に、顔を出していても、つい批判的なコメントをしがちで怖がられている人もいるかもしれません。
また、顔を出していて人柄が伝わる良いアイコンを使われている方は、やはり多くの方とコミュニケーションをとっている印象があります。それは、アイコンが良いから慕われるのではなく、他者と誠実に交流したい姿勢から良いアイコンにされている、という表れだと思います。

名前は伏せますが、顔を隠しているある新規のメンバーの方が、PROGRESSマガジンをとても丁寧に見てくれていると知り、とても嬉しかったです。
PROGRESSマガジンを作って更新している立場としては、誰に読まれていなくても勝手に続けているものなのですが、私がその人のアイコンと名前をすぐに覚えた事は、言うまでもありません。

「プロフィール写真は大事。とりあえず顔を出しておけば友達が増える」
「顔を出すのは危ない。だから顔を隠すけど、あわよくば認知や仕事が欲しい」
いずれも、そのままで良いかは、その人次第ですね。

社会の中でどういう人で在りたいか、他者とどう向き合いたいか、アイコンはそういう姿勢の一つの表れです。
アイコン、めっちゃ大事。

 

くわはら まりほ

 

 

執筆者 | 21/03/19 (金) | コラム


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