何時ぞやのHRだか、トークチャンネルだかであっちゃんが筒井康隆について、「好きな人は多いが、自分には馴染みがない、読んでいない」というような内容を語っていた。
なるほどね。
筒井康隆と言われても、よく知らない方もいると思うので、簡単に説明しますね。
まあ、SF作家として有名な小説家ですね。SF第一世代になるのかな? 第一ってくらいだから古い人ですね。1934年生まれですからね、とは言え、まだ現役バリバリで87歳でも書いています。一般的に代表作としてあがるのは『家族八景』『俗物図鑑』『脱走と追跡のサンバ』など色々とあるんだけれども、まあ、有名なのは「時をかける少女」ですねえ~。映画にも何度もなってますからねえ。
でね、SFって聞くと、『スターウォーズ』みたいな感じの作風が浮かぶのかもしれませんが、筒井康隆の場合は、実験的な手法、ブラックユーモア、ドタバタコメディといった要素で構成されているんですよ。
とまあ、そんな感じの作家なんですが、あっちゃんは筒井康隆と無縁のようなんですが、私は、実は筒井康隆とあっちゃんには「色々と共通点がある」と思っているんですよね。
例えば、筒井康隆にはツツイストと呼ばれる熱狂的なファンがいるんですよ。ほんで、筒井康隆は色々な媒体で断続的に日記を連載していて、ツツイスト達は「筒井康隆の生活の全てを知りたいわ~!!」というノリで日記に夢中になるんですよ。
これって、中田敦彦によるPROGRESSを媒介にした自己開示エンターテインメントに、まあまあ近い感覚ではないかしら? と、私は思うんですよね。
で、80年代末頃から90年代初頭くらいに、パソコン通信がそろそろ出だして、「電脳筒井線」というコミュニティで、筒井康隆本人とネットを通じて文字会話が可能な時代がやって来るわけです。これが、現代のオンラインサロンに文化的には近い気がするし、カリスマとしての在り方が、あっちゃんと筒井康隆は似てるなあ、とも思うんです。
例えば、筒井康隆は新聞に小説を連載するときに、パソコン通信からファン達の意見を吸い上げて、それを作品にフィードバックしたんですよ。
その作品が『朝のガスパール』っていうんですが、何だかね、HRで毎日、『曼陀羅東京』の制作過程を観ていること、それ自体がエンターテインメントになっているこの状況が、電脳筒井線で『朝のガスパール』の制作過程に触れながら、作品の連載も追いかけた、あの時の感じをどうしても思い出してしまうんですよねえ。
まあ、だから、そんなわけで、あっちゃん、このコラム読んでくれているかな?
筒井康隆の『朝のガスパール』を読んで、その制作過程、背景もちょっと調べてもらいたいなあ。
おしまい。