2020年5月入会の、とびながなおこと申します。
中田さんに「ゆるふわ能楽語り」の二つ名を褒められたので、これは語らねばと思い、コラムを書かせて頂きました。
ただ、私は素人で、かなりゆるい語りとなりますので、そこのところはご容赦ください。
能楽を観る上で一番大切なこと。それは「寝る」ということです。
「観劇前日に睡眠とっておこうね」ということではなく「観劇中に寝よう」ことが大切なのです。
「チケット代払ってるし、寝たら演者に悪いじゃん」と思われることでしょう。
四の五の言わずに寝てください。
しかし、NGな寝方があります。ふて寝です。
真面目な人は、前日に演目のあらすじを勉強するでしょう。
そしていざ能楽が始まると、多くの人はこう思うのです。
「何言ってるのかわからん」と。
能楽って本当に説明してくれないんです。謡、囃子の説明はおろか、誰が主役なのか、舞台や、時代背景の説明など皆無。事前に調べてきてもナンノコッチャ分からん、となるんです。わからないことが多いと人はイライラします。
そしてふて寝してしまう。そうなると「もう二度と能楽なんて観たくない」となる。
「絶対寝るぞ」と最初から心に決めてください。
そうすると、不思議と体の力が抜けます。何を言っているかわからなくても、イライラしません。不思議なお囃子に耳を澄ませ、瞼をゆっくり降ろしていきましょう。すると能面が不思議と笑っているように見えてきます。
目を閉じ、たまに目を覚まし、夢と現の世界を交互に体感する。
演目が終わり目を覚ますと、不思議と「いい夢見たな」となります。すると「また能楽観てみるか」となる。
起きて真面目に能を観る事も、とても素晴らしいです。
しかし、寝ていても能楽は楽しいのです。
能楽堂という特殊な空間で、能楽という不思議な世界に浸りながら寝る。最高の贅沢だと思いませんか。