ワインコンサルタントが断酒して学んだこと

執筆者 | 21/07/01 (木) | コラム

学ぶって楽しい。

なぜ、学ぶって楽しいの?

あっちゃんは、「そろそろお酒をやめようかな」という授業の後、即、断酒を初めた。

あっちゃんの凄さは、ただ学んで、それを人に伝えるという教授のような立ち位置ではなく、学んだことを実践し、試行錯誤する実践者であるということだと思う。

学ぶって楽しい。

なぜなら、学ぶことによって、自分が成長でき、自分の人生をより価値のあるものにできるから。

あっちゃんは、背中でそれを見せてくれている。

あっちゃんは、近畿大学の卒業生に向けて、目標達成のための3つのステップをスピーチしている。

1 やりたいことを、まず宣言する。

2 みんなに助けてもらいながら、やり続ける。

3 恥をかいても、あきらめない。

でも、この手法は、リスクを伴うと思う。

なぜなら、自分が、本当にやりたいと思ったら、まず宣言してしまい、とりあえず、計画も立てず始めるのだから、うまく行かないことの方が多い。

でも、やりたいと思ったら、周りの人の応援を信じて走り始める。

前言撤回もある。

だから、どうした?

目標達成のために恥をかいても方法を変えてあきらめずにやり続ければいい。

「混沌を泳ぐ」とは、まさにそういうことだと思う。

近畿大学の開発した養殖マグロも、泳ぎ続けなければ、死んでしまう。

私は、「ワインコンサルタント」という仕事をしている。

ワイン愛好家や飲食店オーナーにどんなお料理にもぴったり合うワインを提案・販売する仕事だ。

ある意味、ワインを飲むことが仕事でもある。

それをいいことに「私は、前世が、イタリアの貴族なので、毎日、ワインを1本飲んでも平気なんです。」とナゾの言い訳を唱えながら30年間、ほぼ毎日ワインを1本飲んでいた。

YouTube大学で学んだことによって、お酒は、医学的には薬物であり、毎日1本のワインを飲む私は、明らかに「アルコールというヤク中予備軍」であるということがわかった。

私も、1ヶ月間の断酒を宣言した。

そして、昨日、一滴もワインを飲むことなく断酒を達成した。

心理的安全性が担保されたプログレスのTwitterにおけるメンバーお一人お一人の応援のおかげだと心から感謝している。

そして、間違いなく、正しい知識を教えてくれて、応援してくれて、伴走してくれたあっちゃんのおかげだ。

たかが、1ヶ月の断酒でしょ?と思う人もいるかもしれない。

でもね。

30年間、毎日ワイン1本を飲んでいた私にとって断酒は、タバコをやめることよりキツかった。

毎朝7時に起きて、まず、「減酒にっき」という断酒のためのアプリを開く。

そして、カレンダーを開きその日の「飲酒した」「飲酒しなかった」というチェックボタンの内、「飲酒しなかった」ボタンに朝イチ、チェックを入れた。

本来、このボタンは、寝る前に入れるボタンだと思うが、あえて、朝イチ、「飲酒しなかった」ボタンにチェックを入れて、その日の断酒を完了させた。

そして、Twitterでも、当日すでに飲まなかったというテイで書き込みをした。

自分とプログレスメンバーに過去形で宣言することで、朝イチで、その日の断酒を完了させることができた。

実際に断酒に成功した夜、寝る前には、あっちゃんと同じように、「よし。今日も飲まなかった。オレは偉い。」と自己肯定感を高めていった。

1ヶ月間。毎日、炭酸水をシャンパンと思って3リットル飲み続けた。

ワインを飲むことによって得られるドーパミンではなく、自己肯定感を日々高めているという事実に対して、より多くのドーパミンを得ることができた。

ワインをコントロールできないワインコンサルタントのコンサルを誰が受けたいと思うだろう?

ワインをコントロールできる自分になりたいと思い真面目に取り組んだ。

私は、プログレス内でPGワイン同好会を立ち上げている。

その中のメンバーの一人に循環器内科医であり日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を保有する山本 慧さんがいる。

PGワイン同好会で毎週金曜日の夜に開催しているオンラインワイン会でワインを飲みながら、山本さんとワインの効用について深く話をしたことがある。

彼の例え話が非常に分かりやすかった。

「ワインは、アセトアルデヒドだけを捉えると毒でしかない。でも、ポリフェノールのアンチエイジング効果など薬の要素も色々ある。つまり、ワインを飲むということは、毒と薬を一緒に飲むようなもの。」

また、精神科医の垣渕洋一氏は、「そろそろお酒をやめようかな」の著書の中で「飲酒に精神的な効用はあっても、身体的な健康効果は全くないことがわかっています。」と記している。

なるほど。

今のコロナ禍におけるお酒の規制と似てるなぁと思った。

ワインは、不要不急。感染が広がるのでやめてください。

確かにワインは、飲まなくても人は生きていけるかもしれない。

話は私の幼少期に遡るが、もう少しだけお付き合い、いただきたい。

私の幼い頃、私の親は共働きで、ほとんど家にいなかった。

両親が帰ってくるのは、夜の11時。

当時流行っていた「11PM」というお色気満載の大人向けの深夜テレビ番組を見ながら家族で夕食を済ませた。

家族の会話は、ほとんどない。

家庭は、うまくいかず、両親は離婚した。

当時の私の両親は、姉と私を育てるのに必死で、その時の最善を尽くしてくれたと思う。

しかし、仕事は、うまくいっていたが、あまり幸せな家庭ではなかったと思う。

私は、商社勤務時代によくパリに出張に行っていた。

現地の人に「日本人の人生の中心が、仕事なら、フランス人の人生の中心には、ワインと家族とのバカンスがある。」と聞かされ、衝撃を受けた。

私は、その後、2年間ひたすらワインの勉強をして2008年にワインエキスパートの資格を取得した。

そして、付き合う人、食事、旅行先、インテリア、職業など全てがワインを中心とする人生に変わった。

そして、自称「前世がイタリアの貴族」の私にとっても人生の中心は、ワインであり、ワインは、人と人を繋ぐ魔法の飲み物であると信じるようになった。

私は、2016年に脱サラをして、ワインコンサルタントになり「キャンドルワイン」という通販ワインショップを立ち上げることになる。

ショップ理念は、「キャンドルとワインで世界中のテーブルをハッピーに」。

夕食時に世界中の家族が、スマホやテレビを見ながら会話のない食事をするのではなく、キャンドルを灯しリラックスした雰囲気でワインと共に家族団欒を過ごして欲しいという思いで「キャンドルワイン」というショップ名にした。

だから、私は、食事がより美味しくなり、家族の会話がもっと広がるワインをこれからも提案し続けたいと思っている。

1ヶ月の断酒を通じて、ワインと向き合い、なぜ、ワインをもっと広めたいのかということを再度確認できた気がした。

そして、ワインは、自分でコントロールできてこその魔法の飲み物であるということも体感できた。

最後に、私の大好きなゲーテの詩を紹介してこのコラムを終わりにしたいと思う。

A dinner without wine is like a day without sunshine 

(ワインのないディナーは、太陽の輝きのない一日のようだ)

そして、私は、思う。

曇りや雨の日があるから人生は、奥深い。

でも、太陽の輝きがあるからこそ、生きてて楽しい?

執筆者 | 21/07/01 (木) | コラム


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