「死に場所がここにあると思った。」
人は皆、自分の世界を持っている。よく言う話だ。
老若男女、人ならざる者まであらゆる命が存在し、この世界ではないどこかで生きている。そこで友情を育み、愛を知り、何かを守る為に戦い、命を燃やして死んでいく。人々の生と死の群像劇が全ての人間の脳内で自動的に生みだされている。
これを自分の世界と呼ぶ。
20歳の頃まで本気でそう思っていた。そんな意味じゃなかったと、気付いた事で心が叫んだ。
「ならこれは何だ?誰か見てくれ。そして教えてくれ。脳内のこれは何だ!」
誰かにこの世界を見てほしい、そしてこれが何なのか教えてほしい。こうして『作家』という夢が産まれた。
夢は私の相棒だ。夢という相棒と私の戦いが始まった。
私は学校の提出物を完成出来ないほど絵を描くのが苦手で、泣きながら居残りするほど文章を書くのが苦手だ。そして家族からの軽蔑、批判というオマケまで付いている。
険しい作家への道で私達は幾度と挫折をした。
諦めては再起し、諦めては再起した。そしてまた諦めた。
「辛い。苦しい。助けて。もう無理だ。」
私の心は悲鳴をあげていた。ともに傷付き敗れてきたはずの相棒が、それでも私を幾度も奮いたててくる。
こうして8年の時が経った今、未だ私の苦痛は相棒に届かずにいる。最凶の相棒に取りつかれた私が救われる為には、相棒に死んでもらうしかないのだ。
だが簡単に死なない事は容易に想像できる。だから死に場所を用意しようと思った。
それが『Progress』
ここには夢を追いかける沢山の人がいる。
それを率いるはあの中田敦彦。
人生を戦う戦闘集団である。
私と相棒の最終戦争にいい舞台だと思った。
今日もまだ相棒は死んでいない。
いつか夢が死に、現実へと転生した時
相棒は最強だから、きっとこう言う。
「まだ、足りない。」と
見てもらうんだ。私達がこの生命で感じた全ての世界を。
ここが私の生きる場所だと信じている。